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理学療法

脳卒中患者の歩行。腸腰筋を賦活し足の引っかかりが改善した症例

投稿日:2016年10月1日 更新日:

今回は、症例報告っぽくいこうと思います。

理学・作業療法士の若手、もしくは実習生が見れば勉強になるかもしれません。

※個人情報には留意し、バックグラウンドなどは一切記載しないこととします。

 

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はじめに

脳卒中患者の歩行に着目し、腸腰筋に対してアプローチを行った結果、歩行中の足の引っかかりが改善した症例の報告です。

アプローチ方法はいたってシンプルで、運動学習理論に基づきアプローチを展開していきました。

参考記事)

運動学習とは。スキーマ理論って何?メカニズムまでわかりやすく解説

運動学習において効果的なフィードバックの頻度とタイミング

運動学習で感覚を認知するには「筋緊張をニュートラル」にすること!

基礎疾患と症状

脳卒中により右片麻痺を呈し、回復期の病院に入院していた60歳代の患者さんです。

麻痺の程度は、Brunnstrom Stege testで右の上肢・手指Ⅲ、下肢Ⅳ、感覚障害は右側が中等度鈍麻です。

左側の筋力ですが、筋力テストでいえば4/5です。

高次脳機能障害は注意障害が軽度ありますが、歩行中には大きく影響していないようです。

歩行の全体像

歩行能力は、四点杖で約10m見守りで可能。ただし、右足が床に引っかかり転倒リスクがあります。

右足関節の背屈運動が困難なため、シューホンブレース(底背屈0°)を着用して歩行しています。

歩行リズムは、3動作揃い型です。

杖→右足→左足。トン、トン、トンって感じです。2回目のトンで右足尖が床に引っかかります。

歩行の問題点

歩行の問題点は、右足が床に引っかかることです。これは、前方へ転倒するリスクを伴うため、最も改善したい問題点であります。

歩行観察から異常な部分をピックアップ

歩行観察から、以下の2つの動きに注目しました。簡単に図で解説します。

(a)右の立脚期に骨盤と体幹が前傾してしまう。

 

(b)右遊脚期に股関節屈曲は軽度で、膝関節の屈曲が優位になっている。

 

より原因を絞っていくため、四点杖歩行ではなく平行棒内で歩行観察をしています。理由は左側(非麻痺側)や体幹の動揺を抑え、かつバランスの問題も取り除くためです。

平行棒で歩行してみても、右足尖の引っかかりは認めています。

原因追求

まず、(a)の問題としては大殿筋の筋力の弱さが原因として考えられます。

ただ、立位姿勢を詳しく書いてませんが、常時骨盤と体幹は軽度前傾位の状態です。つまり、脊柱がやや屈曲位の状態であり、これは大腰筋が弱化した典型的な姿勢です。

それに加えて大殿筋が弱く、右の立脚期を迎えた際に骨盤の前傾を止めることができていません。骨盤が前傾してしまうと、腸腰筋は短縮位の状態になり、その次の遊脚期に力を発揮しずらくなります。それは、股関節が屈曲しにくくなることを意味します。

次は(b)の問題点です。遊脚期に際して右下肢の屈曲が必要なのですが、この患者さんの場合は膝関節屈曲が優位にみられています。この状態では大腿骨は地面に対して垂直位に近くなり、下腿以遠は後方に移動するだけで、下肢の前方スイングはみられません。

(b)の図をみるとわかりますが、足部は装具(底背屈0°)で固定されているため、足尖が床の方へ向いてしまい、床に引っかかりやすくなっています。

 

ちなみに、立位で股関節を屈曲してもらうと自動で行えていました。つまり、腸腰筋の筋力低下が問題ではないということです。

原因を整理すると

①大殿筋の筋力低下、②動作時に腸腰筋が上手く使えていない、③膝関節屈筋の過剰努力がある

となります。

厳密にいうならば、おそらく感覚の問題で動作時に腸腰筋が使えていないのだと思います。

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アプローチ内容

まず、大殿筋の筋力低下に関してですが、そちらは日を追って鍛えていくしかないです。

一番変化が得られやすいのは、②と③でしょう。

まずは、腸腰筋の中でも大腰筋に対してアプローチを行います。

大腰筋は、股関節45°以下では脊柱の直立、0°~伸展15°では大腿骨頭を臼蓋に押し付ける働きがあります。

参考記事)

 

 

方法は、下の図のように左下肢を前方へステップさせ、右股関節の伸展方向への動きを出していきます。このとき、脊柱直立をキープしてもらいます。

ちなみに、装具を付けていると足関節が固定されますので外して行いました。

 

次は、遊脚期における右股関節の屈曲を引き出していきます。

運動を学習していくにあたって、まずはパフォーマンスの知識を与える必要があります。

視覚的にもわかりやすいように前方に台を置き、そこに足をのせるという運動を行いました。

このとき、右足が引っかかるので装具はつけています。

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最初は上手く股関節の屈曲がでなかったので、大腿骨頭~腹部前面あたりをタッピングしながら行うと上手く運動を誘発することができました。

腸腰筋は脊柱や骨盤から着いているので「この辺を意識して~」という感じでタッピング。

すると、比較的スムーズに股関節屈曲がみられ、膝関節屈筋の過剰努力も抑制されました。

患者さんからも「コツを掴んだ!感覚がわかってきた!」との発言がありました。

患者さんがパフォーマンスの知識を頭で理解すれば、実際に歩いてみてもらいます。

まだタッピングをなくすと、股関節の屈曲が疎かになっていたのでタッピングを入れながら、でも徐々に外的手がかりをなくしていきました。運動の手がかりを患者さんの固有感覚へと切り替えていきます。

アプローチ終盤には四点杖を使って歩行しても、右足が床に引っかかる頻度はかなり減っていました。

まとめ

訓練時間は1時間くらいです。歩行観察から原因追及を行い、運動学習理論を用いてアプローチを展開した結果、歩行に変化がみられた症例でした。

患者さん自身が感覚的にコツを掴めれば、次は無意識にそれができるように訓練を展開していきます。

 

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