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理学療法

大腰筋の触診とほぐし方、大腰筋の役割と効果的なトレーニング方法についても解説

投稿日:2016年7月12日 更新日:

大腰筋(だいようきん)は、1990代初めに陸上選手の速さの秘密を探るところから研究が始まり、現在では転倒予防や腰痛改善へのアプローチとして、ここ数年その重要性が知られるようになりました。

今回は、大腰筋の触診やほぐし方、ストレッチ、効果的なトレーニング方法を解説します。

 

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大腰筋(だいようきん)とは

・大腰筋(だいようきん)

・腸骨筋(ちょうこつきん)

・小腰筋(しょうようきん)

これら3つの筋肉は、脊柱から小転子に付着しており、3つを総称して腸腰筋としてまとめて表現される筋肉です。

(人によっては小腰筋が欠如している場合もある。)

 

大腰筋は、脊柱(背骨)から下肢の骨に付着し、上半身と下半身をつないでいる唯一の筋肉となります。

大腰筋は深部にあり、いわゆるインナーマッスルです。

起始

浅頭:第12~第5腰椎椎体ならびに椎間板

深頭:第1~5腰椎の肋骨突起

停止

大腿骨小転子

神経支配

大腿神経(第1~4腰髄節)

浅頭(前方)と深頭(後方)の主な働き

従来まで大腰筋の働きは、

・股関節の屈曲と外旋

・腰椎の前彎

・体幹の側屈

といわれていました。

これは間違いではないのですが、それだけでは大腰筋の機能を十分表すことはできません。

 

大腰筋は、脊柱の屈曲・伸展時の回転中心によって、大腰筋の働きが異なります。

大腰筋が回転中心よりも前方に位置する場合、椎体は前方に引っ張られるため屈曲に働きます。

逆に回転中心よりも後方に位置する場合は、伸展に働きます。

※星マークが回転中心

 

 

基本的には、前方にある浅頭は屈曲に働き、後方にある深頭は伸展に働きます。

ただし、腰椎が過度に前彎する場合(大腰筋が回転中心より前方に位置する)は、浅頭・深頭ともそれぞれ屈曲に働くことになります。

大腰筋の触診

大腰筋筋腹の触診

大腰筋は直接触れるのは難しく、内臓(主に腸)を押しのけながら触診していきます。

触診方法としては、上図のように股関節を45°くらいに曲げます。

おへそを見つけ、外側に指5本分くらいのところに指を立てます(腹直筋の線維を避けるため)。

さらに、後内側に向かって、ゆっくりと指を入れていきます。

※注意:腸があるので、痛みや不快感がないよう慎重に行う必要があります。

 

上手く大腰筋まで到達すれば、コリコリとした細い線維にあたるはずです。

それが大腰筋です。

 

さらに大腰筋かを確認する方法として、自動運動で股関節を屈曲し、収縮が確認できれば間違いないでしょう。

スカルパ三角の中でも腸腰筋(大腰筋・腸骨筋)の停止部に触れる

スカルパ三角とは、

・鼠径靭帯

・縫工筋

・大腿動脈

で形成される三角形を指し、大腿骨頭や腸腰筋の位置を確認するランドマークとして活用されます。

大腿動脈の外側、縫工筋の内側で、腸腰筋の停止部に触れることができます。

大腰筋の関連痛とほぐし方

長時間椅子に座っていると、股関節屈曲位や骨盤が後傾位になることで腸腰筋が硬くなることがあります

大腰筋の硬結

大腰筋が硬結(硬くなる)ことで、大腿部や腰部に関連痛がみられることもしばしばあります。

引用)トラベル&サイモン トリガーポイントフリップチャート

大腰筋の筋線維内を腰神経叢が貫くため、大腰筋が硬くなると神経を圧迫し大腿前面がしびれたり、関連痛として腰痛が出現することもあります。

大腰筋のほぐし方

上で紹介した触診を参考に、大腰筋の筋腹から停止部に向かって、手指で圧をかけストレッチをしていきます。

一カ所への指圧時間は15秒~1分程度で良いでしょう。痛みが軽減したのを目安に徐々に停止部に移行していきます。

股関節の角度で腸腰筋の役割が異なる

股関節の角度 働き 筋の収縮様式
股関節屈曲0~伸展15° 大腿骨頭を臼蓋に押し付ける(骨頭を安定させる) 遠心性
股関節屈曲15~45° 腰椎前彎(脊柱直立) 遠心性
股関節屈曲45°~ 股関節屈曲 求心性

歩行中の大腰筋の働き

歩行において、大腰筋は立脚後期~遊脚初期に最も活躍する筋肉です。

大腰筋が遠心性に働くことで大腿骨を骨盤に固定し、脊柱を直立させることができます。

立脚後期(左足)

遊脚期(左足)

 

また、股関節が十分に伸展すると、大腰筋が伸ばされるため得られた張力により、遊脚初期では大腰筋によって反射的かつ受動的に股関節を屈曲させることができます。

歩く際、太ももを持ちあげるためには、股関節が伸展方向へ運動することがカギを握るというわけです。

臨床で良くみられる大腰筋弱化の姿勢・動作

立位姿勢を観察したとき、すでに腰椎が屈曲している場合や、歩行中立脚後期に腰椎が屈曲し臀部が引けた状態になっている場合は大腰筋の弱化を疑います。

大腰筋が弱化し、腰椎が屈曲している姿勢

 

大腰筋が衰えると転倒しやすくなる

40代~50代頃から徐々に歩くスピードが遅くなる傾向にありますが、実は20代の人と60代の人の歩くピッチ(歩調)を比較したところ差はほとんどみられないようです。

実は、歳をとるにつれて、歩幅が短くなっていることで歩行スピードが遅くなっているのです。

大腰筋は、歩行時の立脚後期に働き、股関節伸展の制動に働きます。

それ故に、大腰筋が機能していれば歩幅は長くなります。

大腰筋が衰えると足が思ったよりも上がらなかったり、体幹が屈曲しやすくなることで姿勢が崩れ、バランスがとりにくく転倒しやすくなります。

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大腰筋のトレーニング方法

大腰筋の効果的な鍛え方をご紹介します。

 

大腰筋の主な働きは、大腿骨頭と臼蓋の安定化、脊柱の直立でしたね。

また、歩行時の主な収縮様式は遠心性(筋の張力が長くなりながら収縮)です。

大腰筋は、遅筋(赤筋)線維が多いため、ゆっくりとした運動が効果的です。

これらを意識した運動を行います。

立位で股関節の屈伸運動

①股関節を伸展

②股関節を屈曲

脊柱は直立位に保ち、①股関節伸展してから②屈曲位へ動かします。ゆっくりと上記の運動を繰り返します。

臥位で股関節屈曲運動

臥位で股関節屈曲45°から深屈曲を行います。

そこから再び屈曲45°の位置までゆっくりと戻していきます。

まとめ

大腰筋について、臨床や自主トレでも使えそうな内容をまとめました。

当ブログでは、このように機能面に焦点をあてた内容が少なかったので、今回のように絞った内容の記事も増やしていきたいと思います。

まだまだ大腰筋への治療は幅広くありますので、おいおいその辺もお伝えできればと思います。

 

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