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理学療法

運動学習をリハビリに活用する方法。立ち上がり動作を例に解説

投稿日:2016年9月27日 更新日:

運動学習の基本となる考え方について解説します。

また、理学療法士として実際に臨床で用いているリハビリ方法も解説しています。

 

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運動学習の段階付け(Fitts&Posner  1967)

運動学習を進めていくにあたって、FittsとPosnerが提唱した段階付けが最もわかりやすいと思います。

運動の学習過程を、①認知段階、②連合段階、自動化段階の三段階に分けて考えていきます。

 

わかににくい用語が出ていたら、こちら↓の記事で説明していますので、まずは用語を理解しておくと良いです。

運動学習とは。スキーマ理論って何?メカニズムまでわかりやすく解説

運動学習において効果的なフィードバックの頻度とタイミング

①認知段階

運動課題において、何を目標にするのか、正しい動作とは何なのかを学習する段階です。

指導者が意識するのは、パフォーマンスの知識(運動の特徴)を与えることです。

このときのフィードバックの方法は、外的フィードバックが有効です。

視覚・聴覚情報を中心とした手がかりを与えていきます。

例えば、指導者からの声掛け(聴覚情報)や鏡を利用した動作修正(視覚情報)などがそれにあたります。

運動学習の初期段階であり、 学習者は動作の特徴を意識的に覚える段階です。

②連合段階

パフォーマンスの知識と結果の知識(動作の結果)との関係性を検出し始める段階です。

結果の知識を与え、内的フィードバックを促していきます。

この段階では、パフォーマンスの知識を理解しているものとして、外的フィードバックの頻度を徐々に減らしていきます(漸減的フィードバック)。

もし、パフォーマンスの知識が不足している場合は、再度認知段階からやり直すことも必要です。

連合段階では、固有感覚を中心として動きを微修正をしていくのが効果的です。

③自動化段階

意識的に注意を向けなくても、動作の遂行が可能となる段階です。

この段階では、動作自体に意識を向けなくてもよくなり、外部環境に注意を向け始めることが可能になります。

自動化段階では、運動課題に注意を要求しない練習が効果的です。

※注意:この段階での頻回な外在的フィードバックは過剰修正を起こし、学習が形成されにくくなります。

たとえ、目的としていた動作と若干違ったとしても、それは患者さん自身が効率的に得た運動ですので、無理に修正する必要はないです。

修正基準としては、動作が安全か安定しているか、今後痛みがでないかなど、その後の不具合が予想される場合は修正したほうが良いでしょう。

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立ち上がりの運動学習の一例

高齢者によくみられるのが、下の図のようの立ち上がり方です。

お尻が支持面から離れてすぐに膝を伸ばしてしまうために、後方へ重心が残ってしまいます。

 

立ち上がりは、大きく分けて体幹が屈曲する相、殿部が離床する相、体幹や下肢が伸展する相に分けられます。

上の図のような立ち上がりは、体幹の屈曲が小さく、離殿と同時に膝が伸びてしまっています。そのため前方への力が生まれず、後ろに倒れこむような立ち上がりになっています。

 

これを運動学習の段階付けに基づき修正していきたいと思います。

まずは、離殿前に体幹の屈曲を出すため、前方に支持物を置き、それを把持してもらいます。

指導者は「椅子に上半身を近づけていき、その後に股関節・膝・体幹を同時に伸ばしていきます」と外在的フィードバックを与え、パフォーマンスの知識を提示します。

このとき、鏡を利用して視覚的に確認してもらうのも効果的です。

改善前
改善後

 

パフォーマンスの知識が認知できれば、助言回数を減らし、患者さん自身の固有感覚を頼りに動作を繰り返していきます。可能であれば、支持物を外していっても良いでしょう。

感覚的に立ち上がり動作が掴めてくれば、物を持ちながら立ち上がったり、椅子の高さや立ち上がる速度を変化させていきます。

立ち上がり動作自体には意識を向けず、身体以外に注意を向けるように練習を進めていきます。

まとめ

運動学習のゴールは無意識・自動化です。

立ち上がりのスキーマ(概念)が出来上がれば、椅子の高さや動作のスピードが変化しても柔軟に対応できる身体になっています。

今回のはほんの一例ですので、患者さんに合った学習方法を見つけてみてください。

 

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