僕は、回復期の病院でリハビリを専門にしていますので、今回は回復期リハビリの重要性についてお伝えします。
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回復期の患者さんの心理
回復期の病院は、命の危機を脱した患者さんが、リハビリに専念するために入院するところです。
患者さんは、医療に関する知識を持っていないのが普通です。患者さんは「これからどのくらい回復するんだろうか?」「もしかしたら、このまま回復しないんじゃないか?」など不安でいっぱいです。
以前のように動けずストレスを感じやすい
脳卒中や骨折などで入院する患者さんは、以前のように動くことができない人がほとんどです。
時に落ち込んだり、イライラしたりして精神的にストレスを感じやすくなります。
入院生活は思いのほかストレスが溜まる
特に夜中は、気付かれないことが多いのですが、患者さん本人にしかわからないストレスがあります。
「夜が長くて何をして時間を潰せば良いかわからない。」「同室者のいびきがうるさくて眠れない。」などのストレスがあります。
家族の支えはとても重要
患者さんが「頑張ろう」という気持ちを持つことが大切
患者さんの頑張りが、直接リハビリの効果に現れやすいのが回復期の時期でもあります。
患者さんに前向きな気持ちを持ってもらい、その気持ちを維持してもらうことが大切です。
そこで、家族の支えはとても重要になります。
例え、医師から「もう歩くのは難しい。」と言われたとしても、家族は患者さんの前では辛い顔をしないことです。
難しいことかもしれませんが、ここは家族も踏ん張りどころです。
患者さんが、前向きに頑張ろうとしている時こそ、家族の方は明るい顔をしてほしいと思います。
家族が辛い顔をしてしまうと、患者さんは家族の不安な気持ちを敏感に読み取ってしまいます。
「もしかしたら、先生からよくないことを言われたんじゃないか?」と思ってしまうと、リハビリに前向きになれなくなるかもしれません。
もし、家族が辛くなったら思い切って休むことも必要
家族がお見舞いや世話で疲れて辛く感じてしまったら、無理をせず休むことも大切です。
家族が辛い気持ちになってしまったら、患者さんもそのことを敏感に察知してしまいます。
時には、共感することも必要
患者さんが、自分の障害にショックを受け、泣いていたりすれば、家族も一緒に共感してあげてください。
「辛いね。でもよく頑張ってる。」と言ってあげください。
それだけで、患者さんは安心してまた頑張る気持ちが出てきます。
もし、重度の障害が残るような場合には、「生きていてくれてありがとう。」と言ってあげてください。
回復期リハビリは機能回復に最も適した時期
理学療法士が、リハビリを提供する場所は回復期の病院以外にもいくつかあります。
大まかには、急性期、回復期、維持期、デイケア、外来リハ、訪問リハなどがあります。
どの時期もリハビリは大切ですが、最も身体の回復が見込める時期が回復期のリハビリになります。
回復期にどれだけ頑張れるかで、その後の能力は大きく変わる
脳卒中であれば、発症後1カ月くらいまでが最も回復します。また、3ヶ月までは急速に回復する傾向にあります。
大腿骨の骨折にしても、特に高齢者では手術後寝たきりの時期が長くなると、廃用症候群といわれる状態になってしまいます。
※廃用症候群とは、寝たきりなどで身体を使わないことで、筋力低下や関節拘縮などを引き起こしてしまうことをいいます。
「しっかり休んでからリハビリすればいいやぁ~。」「いつからリハビリを始めても一緒だろ?」って思っていると、後々大変な努力をしないと回復が見込めなくなります。または、回復の絶好の時期を逃してしまうかもしれません。
僕ら理学療法士は、このことを知っていますので、頑張れない患者さんには「今が大事な時期」であることを伝えます。
やはり、患者さんが頑張らないとリハビリは成立しません。
患者さんの中には、病気によって頑張ることができない場合もあります。
患者さんが頑張れないときこそ、家族の存在がとても大きい
僕の経験上、家族からの一声でリハビリを頑張る患者さんはかなり多いです。
「リハビリ頑張ってるところ見せて。」などの励ましがあれば、渋々でも歩いてくれることが多いです。
「前よりも歩けるようになってるね。」などの正のフィードバックを与えると、患者さんは前向きにリハビリに取り組むようになります。
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入院生活が日常になってはいけない!
入院生活は、治療や介護、リハビリなどかなり手厚いサービスを受けられるメリットがある反面デメリットもあります。
それは、手厚いサービスに慣れて、それが当たり前になってしまうことです。
入院生活に慣れてしまうとどうなるの?
自宅に帰ったら、入院中ほどリハビリも手厚くありませんし、自分のことは自分でしないといけません。
入院生活が日常になってしまったら、自宅で生活することが非日常になってしまい、自宅生活に慣れるまで苦労してしまいます。
常に、退院した時のことをイメージして置くことが大切です。
入院生活から、自分でできることは自分でする
急性期の病院では1日ずっとパジャマだったけど、回復期の病院に来ると毎日パジャマから日中着に着替えることを指示されること多いです。
初めは、面倒くさいし、大変だと思うかもしれませんが、家に帰ったら1日ずっとパジャマでいることはないですよね。(人によりますが・・・)
入院中はする意味あるのかなというような日常動作かもしれませんが、生活のすべてがリハビリになります。
自宅に帰ったら、必ずしないといけないことですので慣れるためにも、入院中からできることは自分でするようにしましょう。
また、入院中はリハビリの時間だけ身体を動かして、あとの時間はベットでゴロゴロしているのもよくないです。
リハビリで習った訓練を病室でも少しやってみるもの良いでしょう。※ただし、安全面に配慮しないといけませんので、担当の療法士に聞いてから実践するようにしましょう。
まとめ
回復期の病院に勤務している理学療法士の僕から、回復期の重要性をお伝えしました。
回復期の時期は患者さんの頑張りはとても重要であり、そのことを僕たち理学療法士も知っているため、患者さんとともに日々頑張っています。
中には、落ち込んでいたり、頑張ることができない患者さんもいます。そんなときこそ、家族の存在はとても大きいものです。
いつもはリハビリを拒否しているような患者さんでも、家族の前では頑張りを見せることを臨床上よく経験しています。
医療は医師や看護師、リハビリ職など、チームで行うものと言われていますが、そのチームの一員として家族の存在はとても大きいということをお伝えしたいと思います。