転倒予防には、「転ばぬ先の杖」とよくいいますね。
理学療法士の僕が、杖を持つ2つの目的と杖の高さの合わせ方をお伝えします。
是非参考にしてください。
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3本目の足。それが杖
「個体発生は、系統発生を繰り返す」という言葉があります。
この言葉は、人間の老いとは人間の進化の過程を凝縮したもの。として表されています。
人間の進化の過程では、始めは四本足で移動していて、やがて2足歩行へと進化しました。
人間の成長も同じで、赤ちゃんのときは四本足で移動し、やがて2足歩行に成長します。
しかし、人間の成長のある時から脚が弱り、転倒しやすくなります。
そこで頼りになるのが杖です。杖は転倒予防のための3本目の足になります。
杖の高さの合わせ方
杖の高さを決めるとき簡単な方法として2つあります。
杖のグリップ(持ち手)を大転子に合わせる方法
大転子とは、脚の付け根、股関節の外側辺りにボコッとした丸っこい骨の出っ張りのことをいいます。
その骨の部分にグリップを合わせます。
肘が約30度に曲がった状態に合わせる方法
なぜ肘を30度に曲がった状態が良いかというと、肘には上腕三頭筋という肘を伸ばすための強い筋が付着しています。
上腕三頭筋が最も働きやすい角度が肘が30度曲がった状態ですので、杖でしっかり体を支えやすくなります。
どちらの方法で合わせても良いですが、肘が約30度曲がった状態に合わせることをお勧めします。
なぜかと言いますと、大転子に合わせても、人それぞれ脚や腕の長さが違いますので、必ずしも大転子に合わせるのが良いとは言い難いところがあります。
肘が30度曲がった状態が良いのですが、「どうやって角度を測るの?」という話ですので、「だいたい30度くらい」で良いのです。
肘が軽く曲がって、しっかり体が支えられているなぁという感じであれば大丈夫です。
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杖を持つ2つの目的。目的に合わせて杖の高さを変更する
杖を持つ目的は2つあります。
1つは片側の脚が悪く、しっかり身体を支えないといけないとき。
もう一つはバランスが悪いときです。
1、しっかりと身体を支えないといけないとき
片側の脚が悪い場合はしっかり体を支える必要があるので、基本的に上で紹介した合わせ方で大丈夫です。
2、バランスが悪いとき
バランスが悪いときの杖の合わせ方をご紹介します。
参考記事)バランス能力の定義とは?構成要素のまとめ
杖を持つことで足が1本増えるような感覚になります。ですので、杖に頼りすぎる人もいます。
杖に頼りすぎると体の歪みが生じたりすることありますので必要な程度杖に頼るようにしたいところです。
そんなに杖に頼る必要はないけどバランスをとる程度は必要という人は、肘が30度曲がった状態(もしくは肘が軽く曲がった状態)から杖の高さを3~5cm高めに設定します。
そうすることで上腕三頭筋を使いにくくするため、杖に頼りすぎることはなくなります。
杖のつき方は、床にギューギュー押さえつけるのではなく、軽くトンッ、トンッとつく感じが調度良いです。
実は、指先が物に接触している感覚が入るだけでも姿勢動揺が減少するという報告があります。
つまり、杖で軽く支えるだけでも姿勢動揺は軽減し、転倒予防にもなります。
まとめ
衰えとともに3本目の足、杖を頼りにしましょう。
杖の高さは肘が30度曲がった状態(もしく肘が軽く曲がった状態)が最も体を支えやすいです。
バランスが悪いために杖を使う場合は、肘が30度曲がった状態から3~5cm杖を高くすると杖に頼りすぎるのを防ぐことができます。
参考にして下さい。