僕は理学療法士として、日々患者さんのリハビリを担当していますが、
入院している高齢者も「私、脊椎(せきつい)の圧迫骨折なんです。」と言われることがあります。
意外と専門用語も使うんだなぁ~。
という印象を受けていますが、中には「脊髄(せきずい)が骨折した」と間違って使っている人もいます。
(何のことを言ってるのかは通じますが・・・)
背骨には色んな専門用語があります。
しかも用語が似ているので、専門職でない人が間違えて使っていることも多々あります。
僕も学生時代に用語を整理するのに時間を要しました。
そこで、今回は一般の人にもわかるように背骨の用語をわかりやすく解説しています。
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【背骨の用語の整理】えっ?脊椎(せきつい)?それとも脊髄(せきずい)?
背骨には色んな用語があるので、正しく理解するためにも基本的な用語を整理しておきましょう。
脊椎、脊髄、脊髄神経、椎体、椎骨、脊柱・・・??
用語が似てるし、何のことを言ってるの?って感じですね。
一つずつ見ていきましょう。
脊椎(脊柱)とは
背骨を横から見た図▼
背骨は、このように
頚椎:7個
胸椎:12個
腰椎:5個
仙椎:5個
尾椎:3~6個
※仙椎や尾椎は癒合しており、それぞれ仙骨、尾骨と一つの骨のように言う場合が多いです。
合計約30個の骨で背骨ができています。
これら全ての骨を総称して脊椎(せきつい)といいます。または、柱のようなので脊柱(せきちゅう)ともいいます。
脊椎(せきつい)=脊柱(せきちゅう)という感じですね。
椎骨、椎体、脊柱管とは
脊椎(脊柱)は、一つひとつの骨の集まりで形成されていますよね。
その一つ一つの骨を椎骨(ついこつ)といいます。
なので、第1頚椎は椎骨ですし、第5腰椎も椎骨ということです。
よくみるとこんな感じです▼(※上から見た図)
高齢者が転倒して、脊椎圧迫骨折を受傷したというのをよく聞くと思います。
この椎体(ついたい)の部分が圧迫されて潰れてしまうわけですね。
脊柱管とは
上の写真では、椎骨の真ん中は空洞になっていますね。
この空洞のことを脊柱管(せきちゅうかん)といいます。
脊柱管の中を神経が通っており、その神経を脊髄(せきずい)というのです。
よく脊柱管狭窄症というのを聞きますよね。
その名の通り脊柱管が狭くなり、神経を圧迫することで手または足に痺れや筋力低下が起きてしまいます。
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脊髄と脊髄神経の違い
脊髄と脊髄神経はよく一緒だと思っている人もいますが、実は別物です。
その違いは・・・
脊髄は中枢神経
脊髄神経は末梢神経
なのです。
中枢神経とは
中枢神経は、脳や脊髄を指しています。
その名の通り神経の軸を成すものです。
末梢神経とは
末梢神経は、脳神経や自律神経なども含む脊髄神経を指しています。
こちらもその名の通り、末梢(中枢から離れているという意味)の神経ということです。
横から見た椎骨▼
脊髄神経は、上下の椎骨の間(椎間孔)から出ています。
椎間孔の辺りで、脊髄から末梢神経である脊髄神経となっています。
中枢神経と末梢神経の働きってどう違うの?
両者の違いを簡単にいうと・・・
中枢神経は神経抑制系に働き、末梢神経は神経興奮性に働いています。
脳卒中や頚髄損傷の人では、手足が異常に力んだり突っ張ったりするのを見たことはないでしょうか?
中枢神経が障害されると・・・抑制性が効かない。
つまり、興奮性のみ残り、手足が突っ張っぱるという身体の構造になっています。
脊髄が障害されると
例えば、第5頚椎を骨折して、脊柱管内の神経(脊髄)が損傷した場合。
軸となる中枢神経が障害されると、その下の神経は全て障害されることになります。
いわゆる頚髄損傷がこれになります。
脊髄神経が障害されると
第5頚椎の右側のみの損傷、もしくは右側の脊柱管が狭窄したとします。
そうすると、右の脊髄神経がダメージを受けるということになります。
その神経の支配領域の感覚障害や筋力低下は起こるのですが、特にその下の脊髄は障害を受けないということです。
脊髄は第1〜2腰椎あたりで終わる
脊髄は実は第1〜2腰椎あたりでまでしかないのです。
なので、例えば第5腰椎を骨折して神経損傷を起こした場合には、末梢神経障害が起こります。
つまり、興奮性が働かないので足が脱力したような状態になります。
腰部の脊柱管狭窄症の場合では、足の筋肉が脱力性の筋力低下を起こすことになります。
まとめ
背骨の用語を整理してみました。
もう間違えないで、ただしく用語を使えそうですね。
脊髄と脊髄神経の違いも知っておくと、解剖学的にも身体症状を理解できるかと思います。
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