認知症患者のリハビリ拒否に、園芸療法を取り入れた症例についてその方法を解説します。
リハビリ拒否に悩む療法士の人は、是非参考にしてみてください。
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園芸療法とは
皆さんは園芸療法ってご存知ですか?
ちなみに園芸療法士という資格もあります。
実は、僕が以前に勤務いていた病院に園芸療法士の人がいたので知った程度で、まだまだ認知されていないのかもしれませんね。
園芸療法の歴史
園芸療法は、元々アメリカで始まり、戦争から帰還した人の心の癒しとして用いられていた手段でした。
北欧でも心理療法として普及し、日本では1990年代にバブル崩壊後に心の癒しとしてガーデニングブームがおこるなどで徐々に浸透していきました。
2002年には兵庫県で園芸療法士を認定する学校を開設さています。
園芸療法の目的
園芸療法は心理療法として用いられるものです。なので、主役は植物ではなく人ということになります。
人間は生まれてから、いろんな達成感や満足感、期待や喜びを経験しています。
植物を育てることで、癒し以外にも達成感や喜びの感情をもう一度呼び起こす目的でも行われています。
園芸療法の効果
高齢者の中には、昔に花を育てるのが好きだった人は多いと思います。
また、園芸が初挑戦の人でも比較的受け入れが良い作業です。
植物を育てるには、土や肥料を作り、種を植え、日当たりの良い場所で日々水をやるといった過程があります。
植物はちゃんと愛情を注げば、すくすくと育っていきます。
その過程って、人生にも似ていますよね。
お子さんを育てたお母さん、仕事をバリバリ頑張ってきたお父さん。
何かに打ち込めば、しっかり結果が出てきたことを経験してきたはずです。
園芸療法では、植物を育てる過程を通して自分がした行為(種を植えたり、日々水をやる)で花がすくすく成長をするのを感じ、今まで経験してきた達成感や喜びの効果をもう一度呼び起こす効果が期待されています。
理学療法に園芸療法を取り入れる方法
では、リハビリでは園芸療法をどのような視点で取り入れていけば良いのでしょうか?
患者さんにリハビリをしてもらうにはリハビリの必要性を感じてもらうことです。
ただし、必要性を感じてもらうには、リハビリの効果を感じてもらう必要があります。
ここが難しいところで、運動療法をしないことには身体機能は向上しません。
園芸療法には、達成感や喜びを通して、他の作業にも達成感を感じてもらうことが期待されています。
他の作業とは、例えばリハビリ内の作業のことです。
植物を育てた自信は、リハビリすれば効果があることを感じてもらうきっかけにもなります。
ところで、理学療法士の役割は基本動作能力の向上を目指すことでしたよね。
つまり、立ったり歩いたりができるようにしていくことが目的です。
理学療法士や作業療法士の人ならわかると思いますが、理学療法士がアプローチする基本動作自体は目的動作ではないんですよね。
何かの目的があるから、立ったり歩いたりするわけですよね。
特に認知症で何のためにリハビリをするのかわからない患者さんに「リハビリです。さぁ歩きましょう。」と言っても、
患者さんは「何のために?」と思います。
どこの誰だかわからない人が来て、いきなり歩けと命令されるわけですから、患者さんからすると嫌だし、恐怖ですよね。
基本動作能力を向上していこうと思えば、目的を持つことです。
園芸療法を取り入れて、種を植えた後は日々水をやるという目的が生まれました。
理学療法士ならどうしますか?
僕は、このようにしました。
鉢植えをわざと高い位置に置くのです。
意地悪ではないですよ・・・汗
その患者さんは、入院時は車椅子を使っていたので、水をやる度に立ち上がることになります。
「○○さん、今日もお花に水をやってくれませんか?」と言って、起立・立位練習をするのです。
「○○さん、少し休憩しましょうか?どうぞ座って休んでください。」と言って、着座練習をするのです。
「○○さん、あそこのお花たちにも水をやってくれませんか?」と言って、水をやってもらいながら横歩きの練習も取り入れていきます。
運動負荷としては低負荷ですが、回復期病院なので1日に数回、それを毎日していればそこそこ能力が上がってきます。
さすがに、患者さんも「今日はやらない!」と言う日はありました。
ですので、園芸療法だけに頼って理学療法を展開していたわけではないです。
リハビリ拒否の対応については、またおいおい記事にしていこうと思っています。
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まとめ
少し作業療法的な視点のリハビリ方法でしたが、別に区別する必要はないと思います。
患者さんからすれば、理学療法や作業療法はどっちでも良いわけですのでね。
繰り返しになりますが、理学療法士が行う基本動作自体は目的動作ではありません。
患者さんが興味を持った作業を取り入れ、うまく基本動作に繋げていけば、リハビリの効果が必ずでてきます。
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