「長年の腰痛、原因がわからない…」と悩んでいませんか?
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レントゲンでは異常なしと言われた…
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腰からお尻にかけて、片側だけ痛む…
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マッサージやストレッチをしてもスッキリしない…
そんなあなたの腰痛、ベルトロッティ症候群が原因かもしれません。
あまり聞きなれない病名ですが、実は「原因不明の慢性腰痛」の中に、この疾患が潜んでいるケースは少なくありません。本記事では、ベルトロッティ症候群の原因や診断方法、回復の目安、自宅でできるリハビリ法まで、徹底的に解説していきます。
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目次
ベルトロッティ症候群とは?|“腰椎と骨盤”の異常なつながり
ベルトロッティ症候群とは、腰椎(ようつい)の最下部=第5腰椎と、**仙骨(せんこつ)や腸骨(ちょうこつ)**が骨性につながってしまう「仙腰移行椎(せんよういこうつい)」が原因となる腰痛です。
ベルトロッティ症候群(Bertolotti症候群)は、10代後半〜30代前半の若年層に多く見られる傾向があります。
理由
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**先天的な腰椎の奇形(腰仙移行椎)**が原因であるため、発育期や成長期に症状が出やすい。
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特に成長が終わる10代後半〜20代で、運動や日常動作により腰に負荷がかかると、痛みや可動域制限として現れやすくなります。
ただし注意点
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中高年でも、腰痛の精密検査を通じて初めてベルトロッティ症候群と診断されるケースもあります。
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無症状のまま一生気づかない人も一定数います。
🔍 症状の特徴
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腰の片側だけに集中する痛みや違和感
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長時間座る・立つ・歩くと悪化
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お尻や太ももにかけての鈍い痛み(坐骨神経痛と誤認されやすい)
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若年〜中年の腰痛患者に多い傾向あり
👉 背骨と骨盤の“つなぎ目”に構造的な異常があるため、通常の腰痛とは違い、治療や対策にも工夫が必要です。
ベルトロッティ症候群の原因とは?
この症候群の原因は、先天的(生まれつき)の骨形成異常です。
主な原因:
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第5腰椎の横突起が異常に大きくなり、仙骨または腸骨と関節化・癒合してしまう
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骨同士が不自然につながることで、関節の動きが制限され、周辺の筋肉や神経にストレスがかかる
この状態が力の伝達や体重の分散に偏りを生み、片側の腰痛や股関節の痛み、姿勢不良などを引き起こします。
どうやって診断される?|レントゲンやMRIでの確認
🔎 ベルトロッティ症候群の診断方法
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X線(レントゲン)検査:腰椎と仙骨の異常な結合を確認
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MRI検査:神経の圧迫や周囲の炎症状態を確認
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局所麻酔による診断ブロック:痛みの原因部位を特定する際に有効
📝 多くの整形外科では見逃されがちなため、専門の脊椎外科や腰痛クリニックの受診がおすすめです。
回復は見込める?手術すべき?|経過と予後
⏳ 回復の目安
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軽度:リハビリや薬物治療で数ヶ月以内に改善するケースも
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中〜重度:慢性化しやすく、数年単位のリハビリが必要な場合も
🛠 手術の適応
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保存療法で効果が出ない場合
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骨の癒合部位が強い炎症や神経痛の原因になっている場合
💡 現在は、部分切除(癒合部分の除去)や関節固定術などの手術も行われています。
リハビリテーションと保存療法
ベルトロッティ症候群の治療は、まず保存療法から始めるのが一般的です。以下のようなリハビリテーションや保存療法が推奨されています。
1. 理学療法(フィジカルセラピー)
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体幹筋の強化:腰椎の安定性を高めるために、腹筋や背筋などの体幹筋を強化するエクササイズが有効です。
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柔軟性の向上:股関節やハムストリングスの柔軟性を高めることで、腰部への負担を軽減します。
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姿勢の改善:正しい姿勢を維持することで、脊椎への過度なストレスを防ぎます。
2. 薬物療法
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非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs):炎症や痛みの軽減に使用されます。
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筋弛緩薬:筋肉の緊張を和らげ、痛みを軽減します。
3. 神経ブロック療法
偽関節部位への局所麻酔薬やステロイドの注射は、診断的および治療的手段として有効です。一時的な痛みの軽減が得られる場合、偽関節が痛みの原因である可能性が高まります。
4. 装具療法
腰部を安定させるためのコルセットやベルトの使用が、症状の軽減に役立つことがあります。
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文献から見るリハビリと治療の効果
複数の研究により、保存療法やリハビリテーションの有効性が報告されています。
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理学療法の効果:体幹筋の強化や柔軟性の向上が、腰痛の軽減に寄与することが示されています。
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神経ブロック療法の有効性:偽関節部位への注射が、痛みの軽減に効果的であることが報告されています。
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装具療法の効果:腰部の安定性を高めることで、症状の改善が期待されます。
これらの治療法は、個々の患者の症状や状態に応じて組み合わせて行うことが推奨されます。
手術療法の適応
保存療法で十分な効果が得られない場合や、症状が重度で日常生活に支障をきたす場合には、手術療法が検討されます。手術の主な目的は、偽関節の切除や神経の圧迫を解除することです。
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偽関節の切除:痛みの原因となっている偽関節を外科的に切除することで、症状の改善が期待されます。
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神経の除圧:神経根の圧迫を解除することで、坐骨神経痛様の症状を軽減します。
手術の適応は慎重に判断されるべきであり、患者の全体的な健康状態や生活の質を考慮して決定されます。
📚 参考文献
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A Comprehensive Update of the Treatment and Management of Bertolotti’s Syndrome: A Best Practices Review. Orthopedic Reviews.
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Techniques for restoring optimal spinal biomechanics to alleviate symptoms in Bertolotti syndrome: illustrative case. PMC.
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Clinical assessment and management of Bertolotti Syndrome: a review of the literature. PubMed.
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A systematic review and bibliometric study of Bertolotti’s syndrome: clinical characteristics and global trends. PMC.
ベルトロッティ症候群の治療は、個々の患者の症状や状態に応じて、保存療法から手術療法まで多岐にわたります。適切な診断と治療計画の立案が、症状の改善と生活の質の向上に重要です。
痛みを改善する主なリハビリテーション方法
痛みを改善するリハビリテーションには、さまざまなアプローチが存在し、それぞれにエビデンスが示されています。以下に、主要なリハビリテーション方法と関連する文献をまとめました。
1. 運動療法(Exercise Therapy)
運動療法は、慢性疼痛の軽減や身体機能の改善に有効であり、ガイドラインでも強く推奨されています。特に、認知行動療法や患者教育と組み合わせた運動療法は、慢性疼痛患者の認知の歪みを是正し、効果的であるとされています。 J-STAGE+4J-STAGE+4医書ジェーピー+4
✅ ① 骨盤の左右バランスを整えるストレッチ
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仰向けに寝て、両膝を抱えるポーズ
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ゆっくり左右に揺れるように動かす
→ 骨盤周りの筋肉を柔らかくする
✅ ② 中臀筋・大臀筋の強化トレーニング
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横向きに寝て、上の足を上げ下げする(クラムシェル)
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壁に背をつけてスクワットをする
→ 骨盤を安定させ、患部への負担を軽減
✅ ③ 呼吸に合わせた腹横筋トレーニング
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鼻から吸ってお腹をふくらませ、口から細く長く吐きながらお腹をへこませる
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腰の下に手を入れて、床に押し付けるように呼吸
→ インナーマッスル強化で腰の負担軽減
2. 物理療法(Physical Therapy)
物理療法には、電気刺激療法(TENS)、温熱療法、寒冷療法などが含まれます。これらは、急性痛や慢性痛の管理において、痛みの軽減や機能改善に寄与することが報告されています。 J-STAGE+1CiNii+1J-STAGE
3. 認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy: CBT)
慢性疼痛に対する治療では、心理的要因へのアプローチが重要です。認知行動療法は、痛みに対する不安や恐怖を軽減し、患者の生活の質を向上させる効果があるとされています。 西九州大学+3J-STAGE+3医書ジェーピー+3J-STAGE+4japr.org+4J-STAGE+4
4. 集学的リハビリテーション(Multidisciplinary Rehabilitation)
慢性疼痛の治療には、医師、理学療法士、心理士など多職種が連携する集学的アプローチが推奨されています。この方法は、痛みの軽減だけでなく、患者の全体的な機能改善にも効果的です。 医書ジェーピー+1japr.org+1japr.org
📚 関連文献
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川村博文ほか(2016)「疼痛に対する物理療法・運動療法」『日本リハビリテーション医学会誌』53巻8号。 J-STAGE+2J-STAGE+2J-STAGE+2
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松原貴子(2017)「慢性痛に対するリハビリテーションの潮流」『PAIN REHABILITATION』7巻1号。 J-STAGE+9japr.org+9西九州大学+9
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坂本貴史(2019)「慢性疼痛の予防戦略とリハビリテーション」『PAIN REHABILITATION』9巻1号。 japr.org
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病院へ行くべきタイミング
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3ヶ月以上、片側の腰痛が改善しない
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長時間座っていると片側だけがしびれる
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ストレッチやリハビリで症状が悪化する
➡ 医療機関での画像検査を受けましょう
いつ痛くなるかわからない腰痛への対策とは?
✅【1】痛みが出やすい動作や時間帯を記録する(症状の可視化)
ベルトロッティ症候群は、「腰仙部移行椎(LSTV)によって引き起こされる不安定性や炎症」が原因で痛みが出ることが多く、「いつ痛くなるかわからない」という不安定な症状に悩む人も少なくありません。
以下に、痛みがいつ出るかわからない不安に対する対策を、医学的知見と実用的な対処法の両面から紹介します。
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症状日記をつけることで、「痛みが出やすい姿勢」「痛みが起きやすいタイミング(朝起きたとき・長時間座った後など)」を把握できます。
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それにより、自分の“痛みのトリガー”が見えてくるため、回避行動や準備(姿勢調整・ストレッチ)が可能になります。
✅【2】体幹の安定性を高めるリハビリ・筋トレ
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ベルトロッティ症候群では、移行椎による構造的な問題が痛みを引き起こすため、「周囲の筋肉(特に体幹)で支えて安定性を高める」ことが大切です。
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有効とされるリハビリメニュー:
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ドローイン(腹横筋の活性化)
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ブリッジ運動(お尻と背筋の強化)
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四つ這いバランス運動(体幹の安定)
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ストレッチ(腸腰筋、大腿筋膜張筋など)
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✅【3】不安定な腰をサポートする道具を活用
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**マックスベルト(腰部コルセット)**は、痛みの強い時期や不安定感がある日など、一時的に使用することでサポートになります。
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ただし、長期使用は筋力低下につながるため、使用は場面を選んで限定的に。
✅【4】痛みが出たときの「安心対処法」を決めておく
「痛くなったらどうしよう」という不安は、実際の痛みを悪化させることがあります。そこで…
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すぐにできる痛み緩和法を3つくらい用意しておくと安心感につながります:
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① カイロや温タオルで患部を温める
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② 座位→横になるなど姿勢を変える
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③ 市販の湿布や消炎鎮痛薬を携帯する
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✅【5】専門医・理学療法士と連携し定期的にメンテナンス
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腰椎の構造に関わる問題なので、専門医の診断・リハビリ指導を受けることで「悪化予防」や「日常生活のコントロール」がしやすくなります。
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定期的な理学療法や運動指導により、「いつ痛くなるか分からない」不安を「予防できる痛み」へと変えることができます。
まとめ|“原因不明”であきらめないで|ベルトロッティ症候群の正しい理解と対策を
ベルトロッティ症候群は、一般的な腰痛とは異なり「骨の構造的な異常」による痛みです。治療やリハビリにも独自のアプローチが必要ですが、正しく診断され、適切なリハビリを行えば、痛みは軽減し、日常生活の質も向上します。
「長年の腰痛、もう仕方ない」とあきらめず、まずは“原因の特定”から始めてみましょう。