リハビリ評価

リハビリに役立つ理学療法評価"情報収集・問診"の項目と活用方法について

投稿日:2017年9月21日 更新日:

理学療法士が行う「情報収集と問診」について解説します。

僕自身は回復期リハビリテーション病院に勤務していますので、画像所見などの医学的情報は比較的揃っている現場ではあります。

回復期をベースに記載していますが、その他の病院や施設でも知っておきたい情報に関しては似たところがありますので、参考になるはずです。

 

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患者さんの目の前に立つ前から、リハビリは始まっている

患者さんの前に立ってからが評価だと言っているようでは本当のプロとは言えないと僕は思っています。

カルテや画像所見などの事前情報だけでもある程度の仮説を立てることができます。

さらに予後予測をした上で実際に患者さんの前に立ち、仮説が正しかったのかを検証していく姿勢こそがプロなのではないでしょうか。

つまり、常に先読みの姿勢が大事になりますね。

患者さんと出会うまでできるだけ多く情報収集ができれば評価の質もスピードも格段に上がります。

遠回りなリハビリもしなくて済みますので患者さんの負担も軽減できます。

理学療法士が行う"情報収集の項目"とは

ここからは、理学療法士が日頃何を情報収集をしているのかを細かく解説します。

以下の3つが患者さんの基本情報です。実習生が書くような症例レポートでも記載している内容かと思います。

・一般的情報

・医学的情報

・社会的情報

があります。

一般的情報

①氏名、②年齢、③性別、④身長、⑤体重、⑥BMI、⑦利き手、⑧主訴、⑨デマンド(HOPE)、⑩NEED。など

活用方法

氏名は個人情報保護のためイニシャルにすることが多いです。

身長や体重を記載するのは、ある程度の全体像を掴むためです。または減量の必要性を示唆する場合においても必要な項目となります。

利き手を聴取しているのは、もし利き手が麻痺側なら利き手交換も指導していくこともあるからです。

主訴、HOPE(デマンド)、NEEDを整理すると・・・

主訴 今一番困っていること
HOPE(デマンド) 患者や家族の要望。専門職に対する希望と期待、実現してほしいこと
ニード(NEED) 専門職から見て必要なこと

となります。

医学的情報

①診断名、②現病歴、③既往歴、④共存疾患、⑤合併症、⑥画像所見、⑦血液検査、⑧服薬状況、⑨他部門情報、⑩どんなリハビリを受けてきたのか。など

活用方法

現状歴は非常に重要な情報です。実習生がレポートにするなら箇条書きでも良いですが、時系列がわかるように記載したいところです。

なぜ現病歴が重要なのかと言いますと、例えば骨折などではいつ炎症が収まるのかが受傷時期からもある程度予測ができるからです。

脳卒中でも片麻痺がどの程度回復するのか、予後予測にも役立ちます。

 

現病歴に加えて共存疾患はないか、合併症はないかも予後を大きく左右しますので要チェックです。

画像所見や心電図で現疾患の重症度を確認できたり、骨折後などでは血液検査から炎症反応の有無が確認できます。

 

また、服薬状況も知っておきたいところです。

薬には効果もあれば副作用もあります。薬をいつ飲んでいるのかも合わせ把握しておきましょう。

 

薬一つで「これほど変わるの?」を経験した記事を書いていますので、こちらを参考にしてください。

パーキンソン症候群を呈した患者さん。動きの悪さの原因は薬の副作用だった

 

また、受傷機転も重要な情報になります。

庭で転倒し骨折したと聴取できれば「庭に出るのが日課だったのかなぁ~。」

ベッドからポータブルトイレに移ろうとして転倒したなら「主な活動範囲はベッドとポータブルトイレ間なのかなぁ~」

とあれこれ想像できますよね。生活イメージがしやすくなるということ。

 

また、前院ではどんなリハビリを受けてきたのかも重要な情報です。

リハビリテーションサマリーとして前院からの情報があれば、それに倣って初期評価を行うとスムーズですね。

他部門情報

医師 予後予測、荷重制限、運動負荷量、脱臼肢位、血圧の上限・下限など
看護師 日常生活動作の介助量や様子、夜間の様子、服薬管理、病棟での過ごし方
作業療法士 日常生活動作における目標、問題点やアプローチしている内容について
言語聴覚士 嚥下や言語における目標、問題点とアプローチしている内容高次脳機能面の机上課題などもしているので聴取
ソーシャルワーカー リハ職の情報を加味した方向性(在宅なのか施設なのか)、経済状況、介護保険やサービスの有無、家族の状況など
介護士 介護状況(看護師と情報が被る場合が多い)

 

医師からは主にリハビリをするにあたってのリスクを聴取しましょう。医師に情報収集をしに行くのって緊張すると思いますが、質問ばかりして先生を困らせないようにしましょうね。

ベストなのは療法士自身が評価した結果、最終判断を医師に仰ぐ姿勢が好感を持たれやすいです。

例えば・・・

臥床時、最高血圧が90台とやや低い。座位をとると80台になる。

考察
この患者さんは脳梗塞で入院してきているので、血圧が低すぎるのは問題になるかも・・・ただし、心疾患も有しているため降圧剤を服用している。

 

自分「先生(医師)。よろしいでしょうか?○○さんなのですが。臥床時に最高血圧が90台で、座位をとると80台になります。どのくらいの血圧で中止と判断すれば良いのでしょうか?」と報告を含めて、相談してみると良いです。

ある程度療法士もどんなリスクがあるのかを想定して医師に相談しに行けば、服薬を見直してくれたり、経験上ですが「数値だけじゃなく、自覚症状をみながら訓練をするように」との指示をいただけたりします。

 

リハ職内でも情報共有はしますが、理学療法士の専門分野は基本動作能力の把握ですので、それらの問題点と目標、アプローチしていることをチームで共有するようにしましょう。

社会的情報

①家族構成、②キーパーソン(主な介護者)、③自宅環境、④生活歴(病前のADL状況)、⑤介護保険またはサービスの有無、⑥趣味。など

活用方法

独居なのか、家族と一緒に住んでいるのかで退院後の方向性やリハビリの内容も変わってきますので知っておきたい項目です。

また、独居の場合でも家族が近くに住んでいればサポートできる状況なのかもしれませんので、家族の協力度も知っておきましょう。

(逆に自宅に退院したとしても介護が見込めない場合もありますので、しっかりと聴取しておきたいですね。)

 

病前のADL状況は予後予測の際にかなり参考になりますので、詳しく聴いておきましょう。

自宅内の移動方法

独歩?つたい歩き?福祉用具は使ってた?など・・・

屋外の移動手段

独歩?杖歩行?シルバーカー歩行?電車・バスは利用していた?など・・・

 

ただ現疾患が脳卒中で重度の運動麻痺を呈してしまった場合には、病前と比較して身体能力が激変している場合もありますのであまり参考にならないかもしれません。

 

自宅環境

・主な生活スペースは?

・寝具はベッド、それとも床で寝る?

・階段はあるのか?古いお家だと勾配が急な場合もある

・手すりの設置位置は?

・玄関、トイレ、風呂場、階段は最低聴取しておきたい

・玄関の上がり框の高さはどのくらいか?

 

自宅退院をするなら、環境に合わせた生活訓練をしていきますので、できるだけ詳しく聴いておきましょう。

ちなみに退院前には家屋調査をすることが多いので、そこで更に生活イメージが膨らむはずです。

経済面や介護保険、利用していたサービスなど

経済面はリハ職が把握していても大きくは影響しませんが、例えば下肢の装具を作成するにあたっての費用はあるのか?なども考えておかないといけません。

 

また、入院前から介護サービスを利用していたのであれば、その時の身体能力を考慮してリハビリプランを立案したり、予後予測をしていきます。

趣味

趣味が人生を占める割合は大小ありますが、その人にとって生きがいは何なのかを聴くことは非常に大切なことです。

例えば、高齢の女性では「友だちと喫茶店でコーヒーを飲みながらワイワイするのが楽しみだった。」という人もいますし、男性では「休日にゴルフに行くのが日課。」という人もいます。

趣味は、そのまま生活の質(Quality  Of  Life:QOL)に直結しますが、障害を負って失われたQOLをどうやって取り戻していくかもリハビリにおいては重要な課題です。

 

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足りない情報は「問診」から収集しよう

上記の項目で大まかには情報収集できていると思いますが、患者さんを取り巻く状況はそれぞれ違ってきますので、そのことを踏まえた上で必要な情報を集めていきましょう。

 

ある程度はカルテや他部署から情報収集はできますが、足りない項目は患者さんや家族の方から情報収集すると良いでしょう。

 

ただ、初対面ですべてを聞き出そうとすると不信感を抱かせる可能性もありますので、まずは他愛のない話から始めてみましょう。

転倒した時の状況や脳卒中を発症した時の状況などを丁寧に聴くと患者さんとの信頼関係は築きやすくなります。

信頼関係が築ければ、自宅の環境(段差や手すりなど)を訊いていくとスムーズに情報収集ができます。

 

※注意

認知機能の低下している患者さんの情報は若干怪しいこともありますので、信憑性に関しては常に気にするようにしましょう。

(認知機能が低下していても、案外自宅のことはしっかり覚えている患者さんは多いですが。)

情報収集をしっかりすれば目標の共有にもなる

情報収集と聞くと一方的なインプットのように思うかもしれませんね。ですが、こちらも理学療法士として情報を提供しますので、情報共有というほうが良いのかもしれません。

療法士が目指す目標があれば、医師や看護師が目指す目標もあります。

リハビリは療法士だけではなく、チームでやるものです。

各部署の目標を繋げていくことで、患者さんの生活がより具体的にイメージできるようになるのです。

当然、患者さんにも目指す目標もあるでしょう。それが実現できるかは専門家の目で判断していくことが大切です。

患者さんを深く知ることができる

身体評価ばかりが理学療法評価ではなく、患者さんを取り巻く情報すべてが理学療法評価にあたります。

医学的情報や社会的情報は専門家として必要な情報でもありますが、どれだけ患者さんの生活に興味を持ち、退院後をイメージできるで自ずと聴取したい情報が挙がってくるはずです。

 

実習生では、よくバイザーから「身体機能ばかり見ていて、退院後がイメージできていない。」などと指導を受けるケースは多いと思います。

このあたりの情報収集も慣れるまでは何をすれば良いのかわからないと思います。

 

専門家としてというよりも、素人目線で

「この患者さんは退院したらどういうところに困るんだろう?」

「どうすれば生活が楽になるんだろう?」

という素直な気持ちを持って、患者さんや家族の方からいろいろ聴いてみると良いのではないかと思います。

おすすめの参考書

特にこれから症例レポートを作成したり、症例発表を控えている人は「理学療法学生のための症例レポートの書き方」の参考書がかなりおすすめです。

実習生のためのレポートの書き方が書かれた本って少ないんですよね。

 

是非、参考にしていただき実習を楽に乗り切ってしまいましょう。

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