今回は、リハビリの目標(ゴール)設定についてお伝えします。
まずは、なぜこの内容を記事にしようと思ったか説明しておきますね。
先日、代診の患者さんをリハビリする時間だったのですが、OTの実習生が「見学させてください」と来ました。
どうやらそのOTの実習生の担当症例さんらしく、PTのリハビリを見学したかったようです。
何となしに、僕は「この患者さんの目標(ゴール)は何?」と聞きました。
実習生は「立位バランスの向上です。」と言っていました。
「ん~何か違うな~」と僕なんかは思うわけですよ。
目標はそこではないという意味ではなくて、リハビリのゴール設定ってそんな考え方だったっけ?と思ったのです。
そこで、その実習生が立てたゴール設定の何が違って、どういう風にゴール設定をしていけばよいのか書いてみました。
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目標(ゴール)設定の目的
リハビリの目標(ゴール)とは、患者さんが達成する行動上、生活上の目標のことを指します。
ゴールを設定することで、患者さんはリハビリへの動機づけとなり、早期から社会復帰の準備が可能になります。
立位バランスの向上はゴールなの?
僕「なんで立位バランスの向上が必要なの?」
実習生「症例さんが病前から料理とか洗濯とかしていたので、料理や洗濯干しができるように立っていられることをゴールにしました。」
僕「そしたら、ゴールは家事ができるようになることだね。」
実習生「あ~~確かにそうですね・・・」
もっとゴールを断定してみますが、「料理ができるようになること」がゴールですよね。
だとしたら、別に立位バランスって必要な条件ではないですよね。
料理は立ってないとできないの?って話ですよ。
料理ができるようになるための「方針」は?
「ゴール」と「方針」は混同してしまう場合が多いです。
先の例でいうと、
ゴールは、「料理ができるようになる」
方針は・・・立って料理するの?座って料理するの?他の方法もあるかも・・・となります。
まぁ普通の感覚であれば何も気にせず、立って料理をしたいものですよね。
もし、今後立ってられないなら、座って料理するように工夫すればよいので・・・
つまり、「ゴール」に対して「方針」は何なのかを決めなければいけません。
その場合、患者さんの要望(ニーズ)も加味しながら方針を決めていくことが大切です。
患者さんが「病前のように何も気にせず、立って料理ができるようになりたい」と言えば、そこを目指すようにリハビリを進めていくのが「方針」となります。
(※ただし、客観的・全体的評価を根拠に、回復能力を判断した上で、「ゴール」や「方針」を決めるべきです)
目標(ゴール)は具体的であるほうが良い
長期ゴールは「料理ができるようになること」
方針は「立位バランスを良くする(立って料理ができるように)」と決まりました。
立位バランスを良くするにも、また具体的なゴールが必要になりますね。
それが短期ゴールになります。
例えば、短期ゴールは「立位が5分できるようになる」となります。
ゴールは具体的であるほど目的意識も高まり、実現・検証しやすくなります。
ですので、「5分」と具体的数字を出してみるのも良いでしょう。
短期ゴールに対する方針は、「バランス練習をしていく、筋力をもう少しUPさせる」などとなります。
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目標(ゴール)の達成期間を決める
客観的・全体的評価の下、ゴールは「いつ」達成するのか予後予測をするべきです。
ただし、病態や障害像、年齢、患者さんのやる気などで「いつ」がズレてくることも大いにあります。
ですので、「いつ」という期間に幅をもたせて、経過をみながら修正していくのが望ましいです。
理学療法士として心得ておくこと
機能面ばかりに目を向けるのではなく、患者さんは今後どんな生活を送る可能性があるのかを予測しておくことが大切です。
理学療法士(または作業療法士)の強みは、医学的、客観的に根拠のあるゴール設定ができることです。
つまり、予後予測ができるということです。
患者さんの未来の姿が、ある程度読み取れるってことですよ。
その未来の患者さんの姿を想像しながら、患者さんと一つひとつの課題をクリアしていきます。
その課題が短期ゴールであり、長期ゴールになります。
設定したゴールが的中したかを常に検証していく姿勢が、理学療法士として成長するかしないかの分かれ道になります。
まとめ
実習生と話したことで、僕もゴール設定について考える機会を得ることができました。
ゴール(目標)はひとつかもしれませんが、方針はひとつではないですよね。
方針とは、「この方向性で、ゴールまでいきたい」ってことです。
方針を選ぶのは患者さん自身であり、そのための意思決定が必要になります。
ゴールを設定するにあたって、中心にいるのは常に患者さんだということを忘れてはいけません。
そのためには、日頃から患者さんとよくコミュニケーションをとっておくことが大切なのではないでしょうか。
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