タイトルはちょっとネガティブな感じですが、日本は今4人に1人は高齢者となっており、当然のごとく年間死亡者数は増加傾向にあります。
今回のテーマは、超高齢社会に突入している日本にとっては避けて通れない問題をお伝えします。
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ほとんどの人は弱り切って亡くなる
どうせ死ぬなら「ピンピンコロリ」がいいと言う人は多いのではないでしょうか?
僕もそうです。苦しんで死にたくありません。
「ピンピンコロリ」とは、今まで元気でピンピンしていたけれど、苦しむ間もなくコロッと死ぬ様を表しています。
実に理想的ですが、ピンピンコロリは突然死ぬわけですから、本人にはいいかも知れませんが、周りの人はびっくりする死に方ですよね。
統計では、突然死は全体の5%であり、残りの95%の人は衰弱し弱り切った後に亡っています。
つまり、弱り切って亡くなる人がほとんどであり、どのような最期を選択するかで人生の最期が大きく左右されます。
過剰な医療で患者さんを苦しめてない?
日本では、終末期の患者さんでも延命治療が行われるのが現状です。
例えば、食べられなくなった患者さんに胃ろう(胃に直接栄養を補充する)をしたり、中心静脈栄養(心臓近くの静脈から点滴をする)を行うことがあります。
そのため、患者さんは食べられない苦しさや体内で処理できなくなった水分で全身が浮腫んだりします。
見た目からしても全身に管や点滴が取り付けられ痛々しい状態になってしまいます。
患者さんは意識がはっきりしていないわけですから、苦しさのあまり管を抜くこともあります。
そうすると手足を拘束するなどして、ますます患者さんを苦しめる結果になります。
最近は拘束することにうるさくなってはいますが、それでも治療をするにはご家族の同意の下、やむを得えず拘束する場合もあります。
今の日本では、病院で亡くなる人が約8割もいます。
また、亡くなるときは病院だろうという認識の人がほとんどです。
ですが、1950年代は約8割が自宅で亡くなっていたそうです。
日本は、平均寿命が男性80.5歳、女性86.8歳(2014年)ですが、健康寿命は男性71.2歳、女性74.2歳(2013年)です。
実は、平均して約10年近くは寝たきりといことになります。
長い人では、何十年も寝たきりの状態です。
もちろん、寝たきりの状態でも生活の質(QOL)を保てている人もいるでしょう。
問題なのは、終末期の過剰な延命治療で患者さんを苦しめているだけの場合もあるということです。
入院してしまえば、病院は治療を放棄するわけにはいかない
日本の医療は延命重視であり、少しでも長く生かすことが使命だと考える医療従事者が少なくありません。
薄々延命治療は患者さんを苦しめているだけじゃないかと思っている医療従事者もいます。
ですが、入院してしまえば治療しないわけにはいきません。
たとえ、終末期じゃないかと思われる場合でも、入院した以上治療しなければ職務怠慢になります。
また、医療従事者(この場合医者ですが)から家族に延命の必要性を説明しても、家族から「できるだけのことはしてください」と言われれば、治療せざるをえなくなります。
もし治療しなければ、訴えられるかもしれません。
また、途中で家族から「やっぱり胃ろうで栄養補充はしないでください」と言われても、医療者は途中で治療を中断するわけにはいきません。
このようなの問題があるため、たとえ本人が延命治療を望んでいなくても、本人の意思確認ができない場合は何らかの治療を施されるケースがほとんどです。
日本人の死生観の問題もある?
終末期では、延命治療を行うかどうかは本人の意思確認ができない場合、家族の意思を確認します。
やはり、身近な人の死は簡単に受け入れられるわけがなく、家族も混乱します。
家族が「できるだけの治療をしてください」と言えば、延命治療が施されます。
実は、ある調査によると日本人の約8割は、自分が最期のときには延命治療をしてほしくないと回答しています。
にも関わらず、身内の死が受け入れられず、ほとんどの家族が少しの望みに賭けて延命治療を望みます。
人が死ぬときは苦しむ?
皆さんは、何の治療もせず衰弱しながら亡くなる場合、人は苦しむと思いますか?
実は、自然に亡くなる場合、人は苦しみをあまり感じないのです。
その理由として、衰弱しながら亡くなる場合脳内でモルヒネに似たエンドルフィンという痛みを抑える物質が放出されるためです。
人間の身体は、自ら痛みや苦しみを抑える作用があるのです。
ですが、不必要な延命治療を行うことで眠るように亡くなるはずが、身体を奮い立たせてしまい余計に苦しめる結果となってしまいます。
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「平穏死」を叶えるためにすること
「平穏死」とは、終末期の患者さんが延命治療を行わず、自然な衰弱にまかせて亡くなることをいいます。
ここからは、不必要な延命治療をせず、自然にまかせた「平穏死」を叶えるためにすることをお伝えします。
病気に関する正しい知識を知っておく
もちろん延命治療をすることで命が救われるケースもあります。
なんでもかんでも延命治療を放棄するわけではなく、本人やその周りの人も病気に関する知識を身につけておくことは大切です。
今はネットでも簡単に情報が手に入りますので、是非活用していただきたいと思います。
信頼できる医師を見つける
例えば、癌では初め手術や放射線治療などを行いますが、患者さんにとってそれらの治療はかなりの負担です。
いよいよ終末期の場合は、逆に自然にまかせ、痛みや苦しみを緩和させる治療が望ましいです。
つまり、どのタイミングで延命治療を中断するか決断する必要性がでてきます。
そこで、適切な治療を提案・説明してくれる信頼できる医師を見つけることが非常に重要です。
書面に残しておく
これはリビングウィルといい、「いのちの遺言書」となります。
リビングウィルのポイントは、3つです。
①自分の精神が健在な時に書かれたもの
②人間としての尊厳を保って死を迎えるために、生命を引き延ばすためだけの延命治療を拒否すること ③末期状態のときに、延命治療の拒否が効果を発揮すること(延命治療の効果が期待できるときは積極的に治療を受けるという意味も含む) |
ある調査によると、家族に最期の医療の希望を伝えている人は31%であり、書面に残している人は5%だったといいます。
日本の場合は、本人が書面に残していても、家族が反対すれば、本人の意思確認ができない以上、家族の意見が通ってしまうのが現状です。
欧米では、たとえ家族が延命治療を望んだとしても、本人の意思確認ができない場合には延命治療を行うことはありません。本人の意思決定がないのに延命治療を施すと、逆に医療従事者が訴えられることもあるそうです。
日本では、書面による法的効果はあまりないですが、家族や周りの人が書面をみれば、本人の意思を後押しできる可能性は多いにあります。
家族としっかり話し合っておく
本人の意識がはっきりしている内にどういう治療を望むのかを話し合っておくことは非常に大切なことです。
本人が治療の是非を書面に残したとしても、法的効果はありませんので、必ず家族と話し合っておく必要があります。
参考書籍
この記事はこちらの書籍を参考に、僕なりの見解も含めて記載しています。
まとめ
日本の平均寿命は世界でもトップクラスであり、医療技術も決して低くないはずです。
だからこそ、日本の医療にかかれば必ず治してくれると思っている人も多いはずです。
ですが、人は生まれた瞬間から死に向かって生きているのです。
永遠の命なんてあり得ません。
日本の現状を少しはお伝えできたかなと思います。
最後にこれらを踏まえて、あなたはどんな最期を望みますか?
一度考えてみてはどうでしょうか。