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理学療法

「ロコモ」と「フレイル」の定義とは。運動と栄養管理で予防になるの?

投稿日:2016年5月24日 更新日:

以前、サルコペニアについて詳しく解説しました。

サルコペニアとは、加齢に伴う筋肉量の低下や身体機能の低下を意味していますが、

この「ロコモ」や「フレイル」は、「サルコペニア」よりも、広い概念があります。

「ロコモ」といっていますが、正式にいうと「ロコモティブシンドローム」のことです。

日本は今超高齢社会に突入しており、高齢者の増加による転倒や骨折、それに伴う医療費の増加や介護費の問題が懸念されています。

国民医療費は年間40.6兆円(2013年)、介護費は年間8.9兆円(2012年) もの費用がかかっており、しかも年々増加傾向にあります。

今回解説する「ロコモ」や「フレイル」は、日本整形外科学会や日本老年医学会が提唱した用語です。

この2つの学会に共通するのは、「ロコモ」や「フレイル」を日本国民に周知してもらい、国民自ら医療費や介護費の問題に取り組んでもらいたいとの思いが込められています。

 

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ロコモティブシンドロームとは

ロコモティブシンドロームは、日本整形外科学会が2007年に提唱した概念です。

ロコモティブ(locomotive)とは、「運動の」「移動の」という意味があります。

要支援や要介護の原因の第2位として、運動器の障害が挙がっています。

ちなみに1位は脳血管障害なのですが、おそらく脳血管障害による後遺症は重度であるため、必然的に介護が必要になることが多いと考えられます。

脳血管障害も確かに生活習慣で予防も可能ですが、病気になるときはなってしまいます。

それに比べて、「ロコモ」の概念である運動器疾患は、日頃のちょっとした取り組みで予防でき、また改善しやすいものです。

「ロコモ」で言われている運動器とは、骨、関節、筋などの身体機能だけでなく、身体の動き、移動、運動などに関わるすべての器官を指しています。

ロコモの原因

運動器疾患によるものと加齢による運動機能の低下に分けられます。

運動器疾患

変形性関節症、骨粗鬆症に伴う円背や易骨折性、関節リウマチなど、これらの疾患による筋力低下や関節可動域制限、麻痺、骨折、バランス能力の低下、体力の低下、移動能力の低下などを指します。

加齢による運動機能の低下

加齢や運動不足による筋力低下、持久力の低下、反応時間の遅延や運動速度の低下によるバランス能力の低下、巧緻性の低下などを指します。

フレイルとは

日本老年医学会が2014年5月に提唱した用語です。

フレイルは、英語のFrailtyを訳しており「虚弱」という意味があります。

フレイルとは、高齢者による筋力低下など身体機能だけでなく、抑うつや認知機能の低下などの精神・心理的問題、独居や経済的困難などの社会問題までをも含む概念です。

つまり、フレイルはサルコペニアやロコモも含んだかなり広い概念になります。

身体的フレイル

老年症候群、慢性疾患、骨粗しょう症、変形性関節症、脊柱狭窄症など

精神神経的フレイル

抑うつ、認知機能の低下など

社会的フレイル

外出の減少、閉じこもり、独居、老老介護、貧困など

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40歳を境に身体機能は低下しやすい

筋肉量は40歳頃から徐々に減少していきます。

大腿四頭筋の筋肉量は40~44歳から75~79歳までの35年間で、男性では約11%、女性では約6%の減少が認められます。

また、加齢に伴い内臓脂肪も増加します。40歳~75歳までで、男性は約43%、女性は約65%増加することがわかっています。

骨関節でいえば、40歳を過ぎると変形性関節症や骨粗鬆症の割合が増加していることがわかっています。

若いときから運動習慣があると体力水準を維持できる

文部科学省による体力テストを行った結果では、年齢を問わず週2~3回の運動習慣がある人と日頃全く運動をしない人では、体力の水準に差があると報告されています。

若いときから運動習慣がある人は、生涯にわたって高い水準の体力を維持する要因になると報告されています。

運動だけでなく、栄養管理も大切

5大栄養素である炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂取することが大切です。

人が動くためには、必ずエネルギーが必要になります。エネルギー源になるのが、炭水化物やタンパク質、脂質です

また、運動だけしていても筋肉量の減少を防ぐことはできません。筋肉はタンパク質で作られているため、タンパク質の摂取が大切です。

必要な栄養素を摂取しつつ、運動を行うとより一層効果がみられます。

疾患のコントロールも大切

もし、膝や腰に痛みを抱えていたり、慢性疾患を患っていると動きたくても無理が生じてしまいます。

運動を取り入れていくためにも、基礎疾患のコントロールが必要になります。

また、秋から冬になるとインフルエンザやノロウイルスなども流行するため、手洗いやうがいなどの感染予防も大切です。

その他にも課題は残されている

「フレイル」の概念では、抑うつや認知症などの精神神経的な問題、独居や老老介護などの社会的な問題も含まれています。

認知症は要介護の原因の第2位であることから、介護費増加の要因でもあり、最近より一層注目されています。

 

参考記事)

また、独居老人や老老介護が増え、身寄りがないため社会保障制度に頼らざるを得ない状況になっていることも我が国の課題であります。

まとめ

「ロコモ」、「フレイル」などの用語は結局のところ学会が作り出した概念であり、新たに何かを発見したというわけでありません。

これらの用語が日本中に広まることが大事なのです。

ご高齢になっても、転倒したり骨折したりしないように、イキイキとした生活を送れるように努めましょう。

学会が提唱した概念には、「医療費や介護費が年々増えてきているので、日本の皆さん自分で病気にならないように気をつけてください」との意味も含まれています。

かつてメタボリックシンドローム、通称「メタボ」はかなり流行りましたよね。

「メタボ」は太っている人というイメージで広まりましたが、肥満は高血圧や糖尿病などになりやすく、医療費もかなりかかってしまいます。

日本の皆さんが「太らないようにしよう」と意識し、行動しているなら効果があったということですね。

「メタボ」のときみたいに、「ロコモ」や「フレイル」などの用語が日本に浸透すれば、健康寿命の延長、更には医療費削減など日本は良い方向に向かうのではないでしょうか。

 

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