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転倒予防

認知症の原因と転倒しないための予防と対策

投稿日:2016年5月15日 更新日:

認知症は、要介護の原因第2位とされています。要介護ということは介護が必要な状態を意味します。

介護が必要となった認知症の中には、転倒により要介護となった人も多いと考えられます。

また、認知症は寝たきりの原因でも第2位であり、いずれにしても活動性が低下する要因にもなりえます。

 

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認知症とは

認知症は、「一度正常に達した認知機能が後天的な脳の障害によって持続性に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態を言い、それが意識障害のないときにみられる」とされています。

つまり、認知症は何らかの疾患や老化も含めた後天的な脳機能の低下であり、生活や社会生活に支障を来した状態といえます。

認知症に関する日本の現状

日本は、世界で類をみないペースで高齢化が進んでいます。

 

2012年では、認知症の有病者数は約462万人であり、軽度認知症は約400万人と推計されています。

認知症の有病率は、65歳以上の高齢者では約15%。つまり、高齢者の6~7人に1人は認知症を発症しているということになります。

しかも、70歳以上からはうなぎ登りの状態であり、95歳以上になるとなんと80%の人が認知症という報告があります。

95歳以上の高齢者は長生きであり、認知症になるのはもはや老化ともいえ、仕方ないことではあります。

しかし、現在日本は超高齢化社会に突入しており、要介護や寝たきりの原因の上位にある認知症は対処すべき我が国の課題でもあります。

認知症の原因

日本で最も多いのがアルツハイマー型認知症であり、次いで脳血管性認知症やレビー小体型認知症と報告されています。

認知症の中核症状と周辺症状

認知症の症状には、行動を起こすもととなる中核症状と行動・心理症状を指す周辺症状があります。

中核症状

記憶障害、見当識障害、理解・判断力の低下、実行機能障害、失語、失認、失行などがあります。

周辺症状

周辺症状は、行動症状・心理症状(BPSD)に分けられれます。

行動症状

徘徊、帰宅欲求、暴言・暴力、介護への抵抗、昼夜逆転、失禁など

心理症状

不安、焦燥感、抑うつ、幻覚、妄想など

中核症状と転倒との関係性

記憶障害

記憶障害は、新しいことが覚えられず、本来安静にしないといけないときにも動き周り転倒してしまうことはよくあります。

見当識障害

見当識とは、時間・場所・人を認識しているかどうかを指しています。

例えば、病院に入院していることすら忘れてしまい、自分の家を探して一人で歩いたりすることもあります。

病院では、入院患者さんが外に出てしまい、屋外で転倒していて見つかったなんてこともあります。

理解・判断力の低下

理解や判断力が低下していると、ふらふらと歩行していても、そのことに気付かず周りに意識が向いて転倒してしまうことがあります。

入院中の患者さんでの転倒場所で多いのがベッド周辺なのですが、一人でベッドから起きて床頭台の物をとろうと転倒するケースも多くみられます。

実行機能障害

遂行機能障害ともいわれますが、効率良く行動ができないことをいいます。

非効率な行動から、安全面への配慮に欠ける場合もあります。

失語

失語は脳の障害で言葉がでなかったり、理解できないができないなどの症状がみられます。

そうなるとニーズを他人へ伝えられず一人で行動してしまいます。

失認

失認とは、見えているが認識ができない症状がみられるようになります。

よくあるのが脳卒中後の左半側空間無視です。これに左側の運動麻痺が重なると、左側を動かすことを忘れて転倒してしまうことはよくあります。

失行

失行とは、無意識には運動ができるが、指示通りの動きができない症状をいいます。

歩行失行もあり、運動がぎこちなくなってしまう症状もあります。

周辺症状(行動症状)と転倒の関係性

周辺症状は、中核症状を元にさまざまな症状がみられるようになることをいいます。

徘徊

徘徊の原因はいろいろあり、例えば入院中であれば自分の部屋を探していた、トイレの場所がわからないなどで歩き回ることがあります。

目的地にたどり着かず、疲れ果てて転倒していたということもあり得ます。

帰宅欲求

認知機能の低下した患者さんや判断力の低下した患者さんによくみられ、入院中にも関わらず「もう帰る!」と言い張る方をたまにみます。

病院は、患者さんを無理に入院させる権利ないので、帰宅する際には入念な環境調整が必要になってきます。

介護への抵抗

移動には見守りが必要な患者さんでも、その必要性を感じてもらえず一人で行動してしまうこともあります。

昼夜逆転

特に環境の変化が苦手な高齢者は、入院すると昼と夜の生活リズムが崩れることがあります。

職員の少ない時間帯に覚醒してしまい一人で行動してしまう場合もあります。

排尿障害

尿意・便意がわからない、または排泄までの時間が短いなどで、焦った患者さんは急いでトイレへ行ってしまうことがあります。

周辺症状(心理症状)と転倒の関係性

不安

漠然とした不安があり、何度も同じ行動をしてしまうことがあります。

そういって際には、転倒へのリスク管理も疎かになってしまいます。

焦燥感

認知機能や実行機能が低下していると、問題が発生した場合に居ても立ってもいられない状態になり、衝動的な行動をとることがあります。

抑うつ

行動が抑制されることが多いのですが、突然スイッチが入ったように行動することがあります。

その際には安全面への配慮に欠けてしまうことがよくあります。

幻覚・妄想

見えないものが見えたり、物盗られ妄想などで突発的な行動を起こすことがあります。

医療従事者ができる転倒予防と対策。まとめ

●認知症を理解し、評価をする。

●日常生活から認知症状を観察する。

●いつもと違うサインを探す。

●援助者が認知症患者さんに合わせる努力をする。

●認知症患者さんは環境の変化に弱いことを理解し、安心・安全な環境を提案する。

●活動を抑制しすぎるとかえって、大きな事故になることがあるため、活動を見守る方法を考える。

(例えば、抑制帯やベッド柵で動けなくするよりは、離床センサーのほうが良い場合もある)

●柵や手すりで体を支えやすい環境にしておく。

●トイレの場所、ブレーキの位置などに目印をつける。

●最悪転倒しても、骨折などを防ぐためのクッションフロアやヒッププロテクターを設置する。

他にも方法はあると思います。

一番大切なのは、その人その人に応じてより良い方法を考えることです。そのためには適切な評価が求められます。

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転倒しやすい患者さんの目指すところは?

理学療法士からした目線でいうと、一番危ないのは中途半端な動作能力を有していることです。

例えば、脳卒中を発症し、軽度の運動麻痺と高次脳機能障害を呈した場合、体はそこそこ動くけど、判断力は低下しています。

判断力が低下しているから歩き出すのですが、ふらふらとよろめくため転倒してしまうのです。

そんなときは、二択なりますが、危ないからといって抑制帯やベッド柵で動けなくする方法、もしくは判断力が低下していてもふらつかないくらい動作能力を向上される方法ということになります。

抑制することで動けなくして、寝たきりに追い込むなんて本末転倒ですし、なんのために脳卒中から命が救われたのか意味不明な状態になってしまいます。

先ほどの例でいうなら、理学療法士が目指すところは、ふらつかないくらい動作能力を向上されることです。

まとめ

高齢になるにつれ増加する認知症ですが、正しい評価と対処で転倒を防ぐことも可能です。

そのためには、患者さん特有の症状を観察し、気持ちを汲み取る努力が援助者には必要です。

 

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