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臨床のこと

医療職の「専門用語使いすぎ問題」

投稿日:

理学療法士のかずぼーです。

 

前々から思っていることなのですが、医療職って患者や家族に対して専門用語(医療用語)使いすぎじゃないですかね。

例えば、カンファレンスに患者、家族も参加しているにも関わらず専門用語が飛び交っているのを未だによくみます。

 

医療職の「専門用語使いすぎ問題」

 

これ、思ってるのは僕だけじゃないですよね。

 

平成9年に医療法が改訂され、患者・家族への「説明と同意」を推奨するインフォームド・コンセントが明文化されました。

しかし・・・

国立国語研究所が平成16年に実施した調査では、8割を超える国民が、医師が患者に対して行う説明の中に、分かりやすく言い換えたり、説明を加えたりしてほしい言葉があると回答。

参考)国立国語研究所「外来語に関する意識調査Ⅱ」

この調査からもう13年も経っていますが、未だに患者・家族がいる前で専門用語使っている医療人もいますよね。

おそらくあまり対策はされていないのではないでしょうか?

これは医師に限った話ではありませんし、療法士や看護師、薬剤師などすべての専門職に当てはまります。

 

この記事では、患者・家族中心の医療・介護を目指していくために医療職の「専門用語使いすぎ問題」を提起し、専門家とは何かを考えてみました。

 

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専門用語って何?

まず、専門用語って何?という話なので、ウィキペディアより引用しました。

専門用語(せんもんようご)とは、ある特定の職業に従事する者や、ある特定の学問の分野、業界等の間でのみ使用され、通用する言葉・用語群である。

これらは、一般的に使われる言葉より、一語に多くの概念を含んでいる傾向がある。いわゆる熟語などはそれ一つが何がしかの概念を指し示すが、専門用語はそれぞれの分野に特化して、より大きく専門的な概念を指し示すために利用される。

隠語等(俗語、スラング・符丁)とは異なり、その特定の分野においては公的に通用する言葉である。反面、その分野に精通していない者(分野外の者)に対しては通じない言葉である場合が多い。

引用)ウィキペディア

 

簡単にいうと専門用語とは、

・その道の専門家たちに通用する言葉

・専門用語には、多くの概念が含まれている

となります。

 

患者や家族は専門用語を聞き慣れていない上に、用語の概念も勉強してないので伝わらないのは当然です。

一般の人が専門用語をみるとこんな感じ!

では、専門用語がどれだけわかりにくいか、あなたにも実感してほしいと思います。

 

ちなみに、このブログはWordPressで運営しています。

WordPressって何?ってことですが、こういうことです。

WordPress(ワードプレス)は、オープンソースのブログソフトウェアである。PHPで開発されており、データベース管理システムとしてMySQLを利用している(後述のプラグインよりSQLiteでの使用も可能)。単なるブログではなくコンテンツ管理システム (CMS) としてもしばしば利用されている。b2/cafelogというソフトウェアのフォーク(後継)として開発、2003年5月27日に初版がリリースされた[1]。GNU General Public License (GPL) の下で配布されている。

引用)ウィキペディア

 

どうでしょうか?

理解できますか?

(ここではWordPressの解説はしませんし、この文章が駄文ということではありません。)

その道の人がこの文章を読むとWordPressとは何かが理解できると思いますが、素人には「???」ですよね。

 

これは文章だからまだ何となくわかりますけど、これを音読されたらどうですか?

はっきり言って「何言ってんの??意味不明ーーー!」です。

 

患者、家族が専門用語を聞くと、あなたがこの文章を聞かされた時と同じ感覚になることを覚えておいてください。

専門用語は、同職種間で使う言葉。患者・家族のための言葉ではない。

例えば「失語症」。

同職種間では「失語症」の共通認識はもっています。

「脳の損傷で言葉を作り出せない状態。」なんていちいち説明してたらくどいですよね。

伝言ゲームみたいになると、間違った解釈で伝わってしまう恐れもあります。

共通認識がある人では一言で「失語症」と言ったほうが伝わりやすいのです。これが専門用語を使うメリットです。

 

ただし、患者・家族に「失語症」と言っても伝わりません。

 

医療職が専門用語を使うのは、同職種同士が円滑にコミュニケーションをとるためです。

つまり、専門用語は専門家のための言葉であり、患者、家族のための言葉ではありません。

医療職は、患者、家族になぜ専門用語を使ってしまうのか?

医療職が、専門用語を使ってしまう要因を以下の4つに分類しました。

要因①:患者、家族目線に立っていない

専門用語は、同職種同士で使う言葉です。

専門用語を使ってしまうのは、患者・家族目線に立っていないというのが挙げられます。

要因②:学生時代から専門用語を使うように教育を受けている

専門職はこれまでの学習において、専門用語を使うように指導されてきました。

実は、これが要因としては大きいと僕は考えています。

特に若手のうちは患者・家族にも専門用語を使ってしまうケースがよくみられます。

 

「同職種同士では専門用語を使い、患者・家族には一般用語に言い換える。」

学生時代からこのような指導を全くと言って良いほど受けていないのが現状ではないでしょうか。

要因③:知識不足、説明下手

意識はしているけれど、専門用語を一般用語に言い換えられないという問題もあります。

専門用語を噛み砕いて説明できないために、何となく専門用語を使ってその場を切り抜けようとする場合もありますよね。

つまり、専門用語の知識が不足していたり、説明が上手くできないケースです。

専門用語は「多くの概念を簡略化した用語」ですので、言葉の定義さえ押さえていれば、わかりやすく言い換えようと思えばできるはずです。

要因④:見栄を張りたい

専門家って何かカッコいいこと言ってそうじゃないですか。

小難しいこと言って、優位性を発揮したい人も少なからずいるはずです。

こういう難しいことを言いたがる人、見栄っ張りなことを「知性化」といいます。

 

聞いてる人は「何やら難しいこと言ってて凄いんだなぁ~。」と最初は思うかもしれませんが、意味はあまり伝わっていません。

そのうち、本当に知りたいことを質問したのに、難しいことばかり言ってると「難しいこと言う人だなぁ、聞くのやめよう。」という印象に変わっていくのがオチです。

カッコつけたつもりが逆にカッコ悪く見えるので、早急に改めましょう。

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患者・家族に伝わらない、理解されにくい用語

何が専門用語で、何が一般用語かの線引きは曖昧ではあります。

患者、家族など聞き手の知識や理解度によっても用語の伝わりやすさは異なります。

 

患者には伝わらない、理解されにくい用語には、

・明らかな専門用語

・専門用語でも一般的に知られている用語

があります。

明らかな専門用語

例えば、嚥下障害、褥瘡、失語、失認、下肢、足部など・・・

特に嚥下機能面や高次脳機能障害は専門用語が出やすいので、患者・家族に説明するときは気をつけたいところですね。

専門用語でも一般的に知られている用語

例えば、麻痺、炎症、貧血など・・・

一般的には何となく知られてはいるけれど、本来の解釈とはズレることがあります。

麻痺と言っても、本来の意味では運動麻痺や感覚麻痺などがあります。

一般的に麻痺と言われれば、しびれを想像する人もいれば、痛みを想像する人もいます。動かしにくさを想像する人もいるでしょう。

患者、家族に説明するときは、専門用語を一般用語に言い換えて伝える

病院や施設で使われる用語を

・医療職の同士で話す用語(いわゆる専門用語)

・患者、家族に話す用語

に分けて使いましょう。

 

患者、家族に伝えるときには、専門用語を一般用語に言い換えて伝える必要があります。

専門用語を一般用語に言い換える

専門用語 言い換えると・・・
麻痺 手足が動かしにくくなっている状態
炎症 熱を持ったり、腫れたりすること

患者や家族に説明する際には、このように専門用語を簡潔に言い換えて伝えましょう。

「○○さんは、手足を動かしにくくなっていることで、歩く際に少しふらつきやすくなっています。」などと説明すると良いでしょう。

 

専門用語は、多くの概念を簡略化した言葉ですので、概念すべてを説明しようとすると逆に伝わりにくくなります。

ですので、そのときの状況に応じて説明の量を変えていくことが大切です。

 

なぜ手足が動かしにくくなっているのかの説明を求められれば、

「脳の血管がつまり、血流が途絶えた状態になっています。ですので、その先の神経に栄養がいかなくなり、神経細胞が壊死し、手足が動かしにくくなっているのです。」と更に詳しく説明すると良いです。

こういう説明は、脳梗塞の概要と運動麻痺のメカニズムを知りたい人には親切な説明になります。

※ただし、この辺りの詳しい話は、療法士ではなく医師が説明するものです。

商品や名称として決まっている場合の対策

名称や商品として決まっているものは言い換えると余計に伝わらなくなります。

これは、福祉用具関係に多いです。

四点杖、多点杖、ポータブルトイレ、ベストポジションバー、歩行車など・・・

療法士ならよく使う用語ですよね。

これらは専門用語とは言いませんが、一般的にはあまり知られていません。

商品や名称は言い換えると余計に伝わらない

患者や家族に説明するときに、

「四つ脚の杖(四点杖のこと)」

「ベッドの横におけるトイレ(ポータブルトイレのこと)」

と言葉で伝えるだけでは「何それ???」となります。

わかりやすく言い換えようとしたのに、余計に伝わらないですね。

カタログや実物を見せて説明すると良い

カタログや実物を見せながら、

「こういう四点杖という杖がありまして…」

「ご自宅のトイレを使えない場合は、こういうベッドの横におけるポータブルトイレというものを使うと良いです。」

など補足的に説明すると良いでしょう。

四点杖▼

【非課税】幸和製作所 アルミ4点支持杖

ポータブルトイレ▼

パナソニック ポータブルトイレ 座楽 背もたれ型SP ベージュ VALSPTSPBE

専門用語をわかりやすく伝えられるのが「専門家」

医療職の「専門用語使いすぎ問題」について、独自の視点から長々と書いてみました。

 

カンファレンスでは、ケアマネジャーやヘルパー、他施設のリハビリスタッフなどが集う場合もあるかと思います。

その場に患者や家族が出席しないのなら、専門用語が飛び交っても問題はないでしょう。

 

カンファレンスの場に患者や家族がいたとするなら?

 

やはり、一番理解してほしい患者や家族にも伝わる用語に言い換えて説明するべきなのではないでしょうか。

 

専門用語は、多くの概念が詰まった用語です。

その用語を一言で言い表すこともできれば、患者・家族へ伝えるときにはわかりやすく言い換えて説明することもできる。

これができて「専門家」というのではないでしょうか。

 

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