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理学療法

リハビリのプロを目指す理学・作業療法士の「クリニカルリーズニング(臨床推論)」を具体例も含めて解説

投稿日:2017年7月2日 更新日:

療法士はその手で患者さんをより良くしていくために、学生時代から解剖学や生理学、運動学の基本的なことから評価の仕方や考え方、リハビリ方法などたくさんのことを学んできました。

 

療法士にとって、基礎が大事だとよく言われますが、その基礎とは何なのでしょうか?

 

僕自身は、知識や技術をただ単に補充することが基礎になるのではなく、その知識と技術を活かすための思考過程が基礎をつくっていくものと考えています。

その思考過程のことを、クリニカルリーズニング(Clinical  Reasoning:CR)といい、「臨床推論」とも訳されます。

カナダの理学療法士Diane LeeはClinical  expert(臨床経験)とは、知識・技術 + クリニカルリーズニングであると述べています。

つまり、ただ単に書籍を読んだり、勉強会に参加するだけでは足らないということです。

勉強しているのに臨床でうまくいかないと感じる療法士は、実はここに落とし穴があるのではないでしょうか。

あなたの学んだ知識と技術を最大限に発揮するクリニカルリーズニングについて具体例を用いながら解説していますので、是非参考にしてください。

 

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クリニカルリーズニングとは

クリニカル(Clinical)とは「臨床の」、リーズン( Reason)とは「理由、根拠、推論」などの意味があります。

 

治療の対象は患者さんであり、医療に対する要求は多種多様にあります。

病態やその程度、年齢、性別、体格、栄養状態、リハビリ意欲、目的意識、治療方針、ニーズなど・・・

このように、多くの条件も追加されるため、その人に合った医療の形を決定していくには多くの知識と経験が必要になってきます。

これらを統合して、根拠(理由)を元に最も適した介入方法を決定していく一連の心理的過程をクリニカルリーズニングといいます。

科学的根拠(エビデンス)を元に医療を展開していくことが重要視されていますが、それは単一の条件がそろった場合に有効であり、実際の臨床場面では医療者の直感や経験によるものが多いです。

クリニカルリーズニングが重要視される理由

現在は、ほとんどの知識はネットや書籍から収集ができる時代です。

勉強会に参加しないと知識を得ることができないなんて時代はすでに終わりを迎えています。

その一方で情報量の膨大さから、何をどういう風に情報を集めていけばよいのかがわからなくなることもよくあります。

臨床推論が不足していると、ちょっと良さそうな治療方法があればそこに飛びつき、それをそのまま患者さんに当てはめてみるなんてことにもなります。

どうなるかというと、患者さんは良くならないことが大半を占めます。もちろんその中で良くなることもあります。

なぜ良くならないことが多いのかですが、その治療方法が本当にその患者さんに合ったものかどうかを根拠を持って考えることができていないからです。

勉強会で学んできた知識や技術はもちろん大事にしてほしいのですが、それをどこでどのように使っていくのかというところが最も重要になるのです。

クリニカルリーズニングの注意点

クリニカルリーズニングにおける思考過程には、直感的思考分析的思考があります。

イスラエルの大学で行われた研究によれば、直観力は90%の確率で当たると報告されいます。だからと言ってなんでもかんでも直感でいけば的中するかというとそうでもありません。

この直観力は、膨大なインプットによって磨かれるものです。ただし、そこには認知バイアス(思考の偏り、思い込み)を含まず真っ白な状態で判断を下すことが非常に大切です。

若手などでは認知バイアスに陥りやすく、過去の少ない成功体験を頼りに思考を展開していくことがあるので注意しておきたいところです。

 

一方の分析的思考は、網羅性と論理的思考により分析が行われるものであり、その判断には大きなミスは少なくなります。

しかし、分析に慣れていないと膨大な時間を要することもあります。非効率で思考自体に負担がかかり、実際の行動に移せないことにもなります。

 

クリニカルリーズニングにおいては、直感的思考と分析的思考を意識的に使い分けるのが良いとされています。

最初の「何となく」という直感を大切にし、そこから「なぜ何となく感じたのか?」を具体的に分析していくと判断に誤りは少なくなります。

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仮説検証作業を正しく立証していくために

理学療法プロセスには、仮説→検証作業という一連のプロセスがあります。

このプロセスには、思考を展開していく理学療法士のバイアスや直感によるものも含み、最終判断に偏りが生まれる場合も少なくありません。

 

仮説には、帰無仮説対立仮説があります。

帰無仮説・・・証明されてほしくない仮説

対立仮説・・・証明されることを歓迎される仮説

 

人は、過去の成功体験を元に「この考えが正しいんだ」という多少の思い込みは必ず持っているものです。(確証バイアスという)

そのため、自分の考えた仮説が正しいであろうという希望的観測や願望により、仮説を自分の都合の良いように偏らせることがあります。対立仮説を大歓迎するようなものです。

 

正しい仮説検証作業を行うためには、自分が出した仮説を一旦否定してみることです。

「そうは考えてみたけれど別の見かたはないだろうか?」

「十分な根拠はあるのだろうか?」

「根拠に不足はないだろうか?」

と客観的に問うてみると、意外にも自分の都合の良いように解釈していたり、足らない情報があったりもします。

 

もし、客観的に問うことが難しい場合には、経験のある先輩や否定的視点を持つ人に自分の考えを聞いてもらうと良いかと思います。

その際にも注意したいことは、そこに根拠が十分にあるのかどうかです。

日本人は「赤信号みんなで渡れば怖くない」かの如く、みんな言ってるから正しいと思い込むことがよくあります。(リスキーシフトという)

実際のところ、臨床においては必ずこれが正しいという十分な根拠があるわけではなく、クリニカルリーズニングを磨くにはいかにしてこのバイアスや直感に偏らないかが重要になってきます。

機能障害における基礎的な臨床推論

ここからは、クリニカルリーズニングにおける具体的な考え方を解説していきます。

※以下の内容は僕自身が臨床で考えていく際の思考過程であり、若干の偏りを含む場合があることと、思考過程のほんの一部であることをまずはご了承ください。

 

機能障害の原因を特定していくにあたっては、ある程度型にはまった思考過程があります。教科書的といえばわかりやすいかもしれませんね。

 

具体的にどのように考えていけば良いのかを一部ご紹介します。

 

例えば、脳梗塞後で運動麻痺の程度と予後を判別する際に何を確認していけば良いのでしょうか。

 

一度考えてみて下さい。

考えることがクリニカルリーズニングですのでね。

 

 

急性期や回復期などの病院では、比較的多くのデータが揃っています。

患者さんに会う前にある程度の情報収集は可能です。

 

この場合の運動麻痺とは、錐体路(皮質脊髄路)の障害が原因で運動のぎこちなさや筋出力の低下が起こっていると仮説を立てます。

では、実際に画像所見を確認し、錐体路が障害されていないかを確認します。

ここでもし画像所見の見かたがわからないとなれば、教科書を開いて知識の補充をしていけば良いですし、Drや経験のある先輩と一緒に錐体路が障害されているのかを確認していけば良いでしょう。

また、このケースでは脳梗塞であることからどの血管が詰まっているのかも気になるところです。

詳しく検査していた場合にはMRAなども撮影していますので、梗塞した血管が情報として記載されていればかなり予後はつかめます。

前脈絡叢動脈の梗塞なら下肢に強い麻痺が出る。

中大脳動脈の穿通枝の梗塞なら上肢に強い麻痺が出る。

ということが患者さんを見る前からある程度の予測ができるわけです。

そのために画像を見るための知識が必要ですし、脳梗塞ならどの血管がどこを支配しているのかの知識も必要になってきます。

 

また、運動麻痺とは一体何なのでしょうか?

そこの「定義付け」を自分なりにでも良いのではっきりさせておくと良いです。

運動麻痺とは、運動のぎこちなさを表しており、筋を単独に収縮させることが難しくなる状態のことをいいます。

つまり、各関節を分離して動かすことができないという現象がみられるようになります。

その際には、片麻痺運動機能検査や深部腱反射、病的反射、問診(発症してからの麻痺の程度とその経過)、エビデンスの知識などを総合して運動麻痺の程度と予後を決定していきます。

 

このように、機能障害を絞っていく際にはある程度の型があります。

それは、脳卒中だけでなく整形外科疾患でも同じことがいえます。

 

その型通りに「まずは何を知りたいのか?」ということを明確にし、そのために知識を補充していくとより障害像が具体化されていきます。

ただ、そのような知識は予め勉強していたとしても、その知識を使わなければいずれは忘れていきます。人間そんなものです。

 

大事なことは、どの情報が必要なのかを知っておき、足らなければすぐに補充できる状態にしておくことです。

姿勢・動作の問題はより精密に検証していく

理学療法士の分野は基本動作能力の改善及び向上を目指すところにあります。

クリニカルリーズニングに慣れていないと最初から局所をみてしまう場合があります。いわゆる「木を見て森を見ず」状態に陥りやすいです。

 

最初から局所を見るのではなく、まずは

「何となくこうなってるかな」

「何となくこの部分が危ないな」

といった視点から入ると全体像を把握しやすくなります。

 

その「何となく」が姿勢・動作の問題点であり、それをもっと具体化にしていくと原因が見えてきます。

 

例えば、

片麻痺患者さんの歩行で麻痺側の足が床に引っかかりやすいのが、その人の問題の動作と考えたとします。

 

あなたならどのように仮説を立て、それを検証していくでしょうか?

 

 

例えば、このように原因を仮説立てていきます。

●股関節の屈曲ができていない?

●足先が床に向いている?

●そもそも立位から重心が麻痺側に寄ってない?

●麻痺側振り出しの際に非麻痺側に重心移動できていない?

など・・・

他にも考えられることはありますが、まずは「何となく」問題点が絞れれば、そこからは「なぜ?」「なぜ?」と繰り返して考えていきます。

 

それを検査・測定、または訓練を通して検証していきます。

●股関節の屈曲ができていない?

→股関節屈曲の筋力テスト

●足先が床に向いている?

→足関節背屈の筋力テスト、拮抗する下腿三頭筋の痙性を確認

●そもそも立位から重心が麻痺側に寄ってない?

→どこから寄ってるの?

骨盤から?それとも体幹から?

麻痺側上肢の重さで寄ってるの?

●麻痺側振り出しの際に非麻痺側に重心移動できていない?

→骨盤を非麻痺側に誘導してみるとどうなるのか?

すんなり重心移動できるの?

重心移動した際に抵抗感はあるのか?あるならそれはなぜなのか?

非麻痺側の感覚が鈍麻しているのか?

重心位置の正中線がズレて認知しているのか?

鏡を見て視覚的に認知させてみるとどうなるのか?

非麻痺側の重心移動するのに恐怖心があるのか?ではなぜ恐怖心を覚えているのだろうか?

支持物を増やし、身体を安定させてみると重心移動がうまくできるのか?

 

このように仮説を立て、評価・検査を行い、治療してみてどう変化するのかを繰り返し検証していく作業がクリニカルリーズニングになります。

まとめ

クリニカルリーズニングについて一部例を挙げて具体的に解説してみました。

理学・作業療法士の専門性とは、患者さんの未来像がほぼ的確に想像できるところにあると僕は考えています。

ただし未来に絶対いうものはなく、過去のデータと経験を元に最も近い未来像を現段階で判断するといったニュアンスになります。

最初に書いていますが、知識や技術を学んだだけでは患者さんを良くしていくことは難しく、同時にクリニカルリーズニングのスキルを身につけていくと尚良いかと思います。

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