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理学療法

超音波療法の適応と禁忌、使用方法や効果は?温熱・非温熱作用の設定についても解説

投稿日:

人が聞こえる周波数は16Hz~2万Hzです。それよりも高い振動数の音波を超音波といいます。

 

超音波療法は、エネルギー変換熱を利用した温熱療法の一つであり、高周波療法とも呼ばれています。

 

ここでは、超音波療法の適応や禁忌、使用方法について詳しく解説した後に、理学療法士の僕が臨床で超音波を使ってみた感想や効果についてご紹介します。

 

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超音波療法の特徴について

 

超音波療法とは、周波数の高い音波が生体に伝播されることにより熱エネルギーに変換される温熱療法の一種です。

超音波は、気体、液体、個体を伝播しますが、空気中は伝播しません。

 

超音波が組織を伝播するとき、靭帯や腱、その他の結合組織で吸収されやすく、そこで熱エネルギーに変換されます。超音波は、筋や脂肪組織よりも、靭帯や腱への温熱に適しています。

腱の加熱速度と温度上昇は、骨格筋よりも2.5~3倍速い。

 

超音波療法時(1MHz)の組織における減退

組織 減衰(%/cm2
血液
脂肪 13
24
血液 32
皮膚 39
59
軟骨 68
96

引用)エビデンスから身につける物理療法 (PT・OTビジュアルテキスト)p110

家庭用の超音波機器もある

医療用の超音波機器は何十万円もしますが、こちらの家庭用の超音波機器は2万円代と安価で手に入ります。

超音波療法の適応と効果

超音波療法で期待される効果には、大きく分けて、

  • 温熱作用
  • 非温熱作用

があります。

温熱作用の効果

超音波の温熱作用により、

  • コラーゲン組織の伸張性増大
  • 神経伝導速度の増大
  • 疼痛の軽減
  • 酸素活性化
  • 筋緊張の抑制

の効果があります。

 

温度上昇による組織の変化▼

1℃上昇 組織の代謝促進
2℃上昇 痛み抑制、筋緊張緩和
3~4℃上昇 組織の伸張性増大

 

超音波の関節の温度上昇は、極超短波(マイクロ波)よりも大きい。

(マイクロ波では、1㎝の深さで3℃程度、2㎝深部で2℃程度の温度上昇)

 

温熱療法の種類と組織温熱距離▼

温熱療法の種類 組織温熱距離
ホットパック 0~1cm
パラフィン浴
赤外線
超音波 3MHzで1~2cm、1MHzで2~5cm
極超短波(マイクロ波) 1~2cm
超短波

引用)関節可動制限―発展途上の理学療法ーその可能性 (実践mook・理学療法プラクティス)p106

 

組織の柔軟性を向上するには、目的とする組織の温度を42~44℃にしなければいけません。

例えば、筋・筋膜の温度上昇を図りたい場合にはマイクロ波や超短波を使用し、深部の組織(関節内など)に対しては超音波が効果的です。

非温熱作用の効果

  • 創傷
  • 靭帯損傷
  • 浮腫
  • 血流改善

超音波療法の対象疾患と機能障害

対象となる疾患

  • 関節リウマチ
  • 筋・腱鞘炎
  • 五十肩
  • 筋筋膜痛症候群
  • 肩関節疾患
  • 上腕骨外側上か炎
  • 手根管症候群
  • 石灰沈着性腱板炎
  • 滑液包炎
  • 関節周囲炎
  • 骨折

対象となる機能障害

  • 関節可動域制限
  • 痛み
  • 筋スパズム
  • 瘢痕組織
  • 異所性骨化

超音波療法の禁忌

  • 妊婦の腰部
  • 活発に骨が成長している骨端
  • がん
  • 結核感染
  • 出血傾向
  • 循環不全
  • 骨化性筋炎の周囲
  • 深部静脈血栓症
  • 急性損傷部位
  • 最近放射線治療を受けた組織
  • 皮膚疾患
  • コミュニケーションに問題がある場合
  • 心臓ペースメーカー、電子機器を生体に埋め込んでいる場合
  • 生殖器
  • 眼球
  • 頭部前面(動脈、神経)
  • 脊髄(特に開窓術後や椎弓形成術後など)

超音波療法は、金属への照射は可能なのか?

超音波の場合、金属への照射は可能とされています。その理由としては、金属の熱伝導が良いため熱が貯留しないため。

 

ただし・・・

ほとんどのプラスチック製品は超音波を吸収しやすいので、骨セメントやプラスチック製の人工部物には連続波は直接照射しないほうが良い。

メタクリル酸メチルからなる骨セメントやプラスチックは超音波によって加熱されやすい。

 

Kocaogluらは、ラットの大腿骨を金属で内固定(骨接合術)し、超音波療法を実施しても組織の過度な温度上昇、組織壊死は認めず、内固定抜去時の力にも差はなかったと報告している。金属による固定術を実施していても超音波療法の禁忌にはならないが、金属部位では超音波が反射するので定在波が発生する可能性が高く、超音波ヘッドを移動させながらの照射が重要となる。

引用)エビデンスから身につける物理療法 (PT・OTビジュアルテキスト)p124

 

超音波の設定では、後述の照射時間率(DUTY)を100%(連続波)にする場合は人工物に照射しないこと、または間欠波(0~50%)に設定すると良い。

 

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超音波療法、4つの設定について

超音波機器を使用する際に、この4つを設定します。

  1. 周波数(MHz) 
  2. 強度(W/cm2)
  3. 照射時間率(DUTY)
  4. 実施時間

設定①:周波数「1MHzと3MHz」の違い

超音波療法で使用される周波数は、大きくわけて1MHzと3MHzがあります。

1MHzは1秒間に100万回、3MHzは1秒間に300万回の運動が起こります。

 

これらは、深部への到達距離によって使い分けます。

1MHz:6cm前後

3MHz:2.5㎝前後

まで到達します。

 

超音波のへッド(プローブ)▼

 

3MHzは、1MHzよりも組織に吸収される速度が3倍速く、つまり3倍速く温熱することができます。

設定②:強度(w/cm2)「温熱、非温熱作用」

臨床的には、0.5~2.5W/cm2の間で設定することが多いです。

あまり強度を上げすぎると、組織損傷や熱傷のリスクが高まるため患者の訴えも聞きながら照射します。

4℃の組織温度上昇で、結合組織の伸張性が増す

Draperは1MHz、3MHzの超音波を健常者下腿に照射して生体内での温度変化を測定している。この報告ではERA2倍で限定して超音波を照射している。1MHz、1.5W/cm2で10分間照射すると2.5㎝の深さで3.5℃上昇している。3MHzでより表層の温度変化を捉えると、1.0W/cm2、6分間照射すると1.6㎝の深さで4℃上昇している。また、in vitro(試験管内)では4℃の温度上昇で結合組織の伸張性はかなり増大すると報告されている。

引用)エビデンスから身につける物理療法 (PT・OTビジュアルテキスト)p114

 

つまり、靭帯や腱、関節包などが原因の関節可動域制限を改善するには、4℃の組織温度上昇を図る設定にする必要があります。

温熱効果、非温熱効果を図るための設定について

まは、下のグラフを見てください。(クリックして拡大するとよく見えます。)

 

下腿に超音波を照射したときの温度変化▼

引用)エビデンスから身につける物理療法 (PT・OTビジュアルテキスト)p115

 

グラフを参考にすると・・・

1MHzの場合

2.0W/cm2なら10分で2.5~5㎝の組織が4℃上昇、1.5W/cm2なら3.5℃上昇しています。

1.0W/cm2では、10分間の使用で1.5℃程度しか温度が上昇していません。

3MHzの場合

2.0W/cm2で3分実施すると、0.8~1.6㎝の組織が4℃上昇します。

1.5W/cm2では4~6分くらいで4℃まで上昇。1.0W/cm2なら5~6分。

0.5W/cm2なら3℃までしか上昇せず、温熱効果としては乏しい。

 

これらのことから、

温熱作用は、1.5~2.0W/cm2

非温熱作用は、0.5~1.0W/cm2

 

ただし、温度上昇には個人差があります。脂肪が多い人では、温度上昇に時間がかかることも念頭に置いて実施するべきです。

熱傷、組織破壊に注意!ビーム不均等率(BNR:beam nonuniformity ratio)について

組織内には、小さな気泡が存在しています。超音波により気泡が圧縮・拡張を繰り返しますが、この現象をキャビテーションといいます。

超音波で発生する電圧は完全な均一ではなく、一点に集中した場合に組織を破壊する場合もあります。これを空洞化現象といいます。これは8W/cm2で生じます。

2W/cm2で照射していても、BNRが5であれば局所的には10W/cm2になり、組織破壊の危険が生じることになります。

 

このように不安定なキャビテーションを避けるためには、

  • BNRが低値の機器を使用すること
  • 超音波ヘッド(プローブ)を移動させながら照射すること

を心がけておくことが大切です。

設定③:照射時間率(DUTY)「連続波、間欠波(パルス波)」

照射時間率(DUTY)とは、照射している時間と照射していない時間のことをいいます。

 

これには、

  • 連続して照射する連続波
  • 照射されていない休止期間がある間欠波(間欠波)

があります。

 

連続波はDUTY100%、パルス波はDUTY5~50%で設定します。

 

DUTYの設定でも、温熱、非温熱作用を設定します。

5~20% 急性期の非温熱作用
20~50% 亜急性期の非温熱作用
100%(連続波) 慢性期疾患の温熱作用

 

連続波(100%)では、音波痛が生じやすいため、熱さや痛みを感じる際はDUTYを下げると良い。

設定④:実施時間

3~10分くらいで設定します。

設定時間の目安は、次の「疾患別、超音波療法の設定(目安)」を参照。

疾患別、超音波療法の設定(目安)

筋筋膜痛症候群

周波数 1MHzまたは3MHz
強度 1.5W/cm2
照射時間率(DUTY) 100%(連続波)
実施時間 10分
期間 週4~5、2~3週間の運動療法と併用

腰痛

周波数 1MHz
強度 1~2W/cm2
照射時間率(DUTY) 100%(連続波)
実施時間 10分
期間 週3回、4週間の運動療法と併用

肩関節疾患

周波数 1MHz
強度 0.5~2W/cm2
照射時間率(DUTY) 100%(連続波)
実施時間 10分
期間 週3~4回、4週間の運動療法と併用

上腕骨外側上顆炎

周波数 1MHz
強度 1~2W/cm2
照射時間率(DUTY) 20%(間欠波)
実施時間 5~10分
期間 週2~3回、3~6週間の運動療法と併用

手根管症候群

周波数 1MHzまたは3MHz
強度 0.5~1.5W/cm2
照射時間率(DUTY) 100%(連続波)
実施時間 5~10分
期間 週5回、4週間の運動療法と併用

石灰沈着性腱板炎

周波数 1MHzまたは3MHz
強度 1~2W/cm2
照射時間率(DUTY) 100%(連続波)
実施時間 10分
期間 週3回、4~8週間の運動療法と併用

滑液包炎

周波数 1MHz
強度 1W/cm2
照射時間率(DUTY) 100%(連続波)
実施時間 5~10分
期間 週3回、3~4週間の運動療法と併用

関節炎

周波数 1MHzまたは3MHz
強度 1~2W/cm2
照射時間率(DUTY) 100%(連続波)
実施時間 5~10分
期間 週3回、2~3週間の運動療法と併用

超音波療法は、ストレッチと併用するのが効果的

組織の伸張性が最も得られやすい4℃の温度上昇。組織の伸張効果が得られやすいのが、超音波実施後2~5分と言われています。

つまり、この時間内に伸張運動を行うのが最も効果的であるといえます。

超音波療法の使用方法

超音波は空気中を伝導しにくいため、カップリング剤を媒介として使用します。

 

カップリング剤▼

使用手順

  1. 導子ヘッドの上に、または皮膚上にジェルを塗布
  2. ヘッドを皮膚上に滑らせながら超音波を実施

注意:カップリング剤の量が少ないと、ヘッドと皮膚との接触面積が少なくなります。

ヘッドの使用方法(スクロール法と回転法)

スクロール法と回転法があります。

スクロール法

直線的にヘッドを移動させます。

回転法

円を描きながらヘッドを移動させます。

 

いずれにしてもヘッドを一か所に留めないことが大切です。

筋・腱へアプローチする際の効果的なヘッドの動かし方

  • 筋:走行に対して、直角に動かす
  • 腱:走行に対して、並行に動かす
  • 関節:関節面にヘッドを固定し、関節を動かす

水中法について

治療面積がヘッドよりも小さい部位へは、水中法を使用することもあります。(カップリング剤は不要)

 

通常の水道水では気泡があり、超音波が伝導しなくなるため、30分以上沸騰させてから実施します。(実施温度は18~24℃)

効果的なヘッドの移動距離「有効照射面積(ERA:effective radiating area)」とは

超音波が照射されている面積を有効照射面積(ERA:effective radiating area)といい、ERAは2倍以内にするのが良いです。これ以上のERAにするなら2回に分けて治療を行います。

つまり、ヘッド移動幅はヘッドの2倍程度(ERA2倍)が良いということです。

ヘッドの移動速度

一般的には3~4㎝/秒の速さで動かします。

3MHzのほうが1MHzよりも早く温度上昇が生じるため、広範囲に移動させても良い。

理学療法士が超音波を使ってみた感想!実際の効果は?

僕が実際に、超音波を使ってみた感想と効果についてお伝えします。

 

※以下は1症例であり、効果を保証するものではないことを念頭に置いてください。また、適応や禁忌を知り、適切に治療することが大切です。

 

 

40代男性で大腿骨転子部骨折を呈した方でしたが、術後膝関節を伸展位で固定していたため、その後に膝関節が曲がらなくなっていました。

僕が担当した頃では、術後1ヶ月程度経過、膝関節は屈曲90°くらい。

 

当初は、筋へのアプローチで何とか130°くらいまで曲がるようになっていましたが、患者が望む「正座ができるようになること」にはまだまだでした。

 

おそらく、膝蓋下脂肪体が癒着を起こし、膝関節屈曲最終域で曲がりにくくなっていると仮説を立てて、超音波を実施してみることにしました。(もちろん主治医の許可は得て。)

 

設定は以下の通り

周波数 1MHz
強度 1.2W/cm2
照射時間率(DUTY) 100%(連続波)
実施時間 10分

照射部位は、特に膝蓋骨下。硬さや突っ張りを感じる場合は膝蓋骨内外側にも実施。

 

10分間超音波を実施した後に、膝関節を屈曲方向へ伸張しました。超音波実施後は、明らかに屈曲方向への抵抗感も軽減しているのがわかるほどでした。

これを2週間程度実施し、正座ができるほどまで改善がみられました。

 

他にも超音波の効果を感じる症例はいくつもあります。

いずれも、靭帯や関節包といった深部の拘縮が疑われるような症例に対して効果があると臨床上感じています。

家庭用の超音波機器

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臨床家におすすめ「物理療法」の参考書

こちらの参考書を中心に記事をまとめました。

物理療法は、正しく実施すればバカにならないくらい効果が期待できます。

こちらの参考書は、研究結果を用いてとてもわかりやすく解説されています。

 

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