理学療法

デマンド・主訴・ニードについて。リハビリの質を高めるには?

投稿日:2017年2月23日 更新日:

今回は、リハビリをしていくにあたり聴取するデマンド(Demand)・主訴・ニード(Needs)について解説します。

また、僕の経験も踏まえて、リハビリの質を高めるためにはどうすれば良いのかも記載しています。

 

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デマンド・主訴・ニードとは

病院に診察にいくと、医師が患者さんの訴え(主訴)を聴取しますよね。

患者さんが「足が痛いんです」などと訴えれば、それに合わせた治療が開始されます。

リハビリを進めていくにあたっても同様に、理学療法士は患者さんの訴えを聴取しリハビリプランが立案されます。

ただ、リハビリにおいては主訴だけ聴取すれば良いというわけではなく、患者さんや家族からリハビリを通して「何ができるようになりたいか」も聴取しています。

それがデマンド(Demand)になります。

 

そして、主訴とデマンド(Demand)を加味して、専門家の目から見て必要なものとして挙げられるのがニード(Needs)となります。

整理すると・・・

デマンド 利用者やご家族の要望であり、専門職に対する希望と期待、実現してほしいこと
主訴 今一番困っていること
ニード 専門職から見て必要なこと

これらは、初回リハビリである程度聴取しておくべきことです。

 

利用者や家族から主訴やデマンドを聴取する際、それぞれ重なり表出される場合もあります。

そのため、詳細に関しては日を追って質問をしておくのが良いです。

また、主訴やデマンドなどの情報は変化するものと認識しておき、その都度情報を更新していくことが大切です。

「 デマンド」が明確になれば、リハビリの質は高まりやすい

患者さんから主訴やデマンドを聴取するのですが、その中でもデマンドが聴取できない場合リハビリの質は下がりやすいのではないかと思います。

何をもって質とするかという話ですが、とりあえずのマッサージや無目的かつ永続的なリハビリはやはり質の低下と言わざるを得ません。

マッサージだけなら別に理学療法士じゃなくて整体師に依頼しても良いわけですし、終わりのないリハビリもそれ自体が目的となってしまいよくはないでしょう。

 

ここからは僕の経験を元に、デマンドがはっきりしている患者さんとそうでない患者さんの違いを記載します。

デマンドが明確なAさん

Aさん

主訴:長時間歩くと両下腿が疲れてくる。

デマンド:近くの診療所やスーパーまで歩いていきたい(歩いて10分ほど)。

ニード:両下肢の筋力及び筋持久力向上

上記のように整理すると、ニードに合わせたリハビリ計画が立案されることになります。

実際には、両下肢の筋力増強訓練と歩行の持久性を評価しながら訓練を進めていきました。

 

Aさんのように、こうなりたいというデマンドがはっきりしている場合、リハビリでやるべきことも明確になり、また効果判定もしやすくなります。

 

デマンドがはっきりしないBさん

Bさん

主訴:右下肢全体が痛い。

ニード:トイレまで安全に歩行できるように。

デマンドらしきものは聴取することができませんでした。

Bさんの場合、入院当初はトイレに一人で行けなかったので、まずはトイレに行くために歩行訓練を中心に実施していました。

そして、福祉用具を用いてトイレへ一人で行けるようになり、その時点でもうニードは満たされてしましました。

そうなると患者さんは、リハビリの必要性を見出しにくくはなり、患者さんからすれば「この人は何のためにリハビリに来ているのだろう」となります。

 

そして、Bさんが注目したのが主訴の部分です。

つまり、主訴がデマンドとなってしまい、結局痛み緩和やマッサージという手段そのものがリハビリの目的となってしまいました。

 

痛みなどの機能障害を治療していくことも当然重要なことではありますが、痛みが緩和すればその先に何ができるようになるのかという視点を持つことが大切です。

 

リハビリは無目的且つ永続的に続けるものではなく、必要な人に必要なだけ提供するのが望ましいです。

つまり、どこかのタイミングでリハビリを卒業するときがきます。

機能障害にばかり目を向けていると終わりのないリハビリになりかねません。

そのためには、「何ができるになりたいか」といったデマンドをしっかりと聴取しないといけません。

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デマンドは引き出すもの!

デマンドを聴取することの重要性を述べましたが、デマンドを明確に聴取できない場合もあります。

デマンドは聴取するというよりもむしろ引き出していくものではないかと思います。

つまり、その患者さんの可能性を見出すのが療法士の役目となります。

 

理学療法自体は業務独占ではないので、理学療法っぽいことなら誰でもやっていいわけです。

しかし、専門家と素人との大きな違いは、未来の患者さんの姿を的確にイメージできるところにあると僕は考えています。

療法士は、ICIDHやICFモデルに患者さんを当てはめて統合と解釈ができるからこそ、未来の利用者の姿がイメージできるのです。

これが療法士としての強みです。

 

未来の姿をイメージした際に、どうしてもデマンドに応えられない場合も多くにあります。

例えば、頚髄の完全損傷の人が自分の足で歩いてスーパーまで行きたいからそのためのリハビリをしてくれと言われても難しいでしょう。

それは療法士が一番わかっているはずです。

スーパーに行くことが目標なら方針を変更してみると、それがリハビリプランになります。

療法士は専門家の知識と創造力を駆使して患者さんに道を提示していきます。

療法士としての立場

福祉用具に関しては福祉用具専門員に相談したり、手すりの取り付けは業者に依頼しないといけません。

そして、各種サービスに関してはケアマネジャーが取りまとめる。

療法士はあくまでも身体機能を熟知した専門家という立場から助言をしていくことが大切であり、密に他職種と連携をとっていくことが求めらます。

デマンドを引き出すには、もっと気持ちの部分にフォーカスを当てたい!

道を提示する際に意識しておきたいことは、患者さんの気持ちの部分です。

障害受容ができていない場合、先走ったリハビリプランはむしろ患者さんを混乱させてしまう場合があります。

また、「もうこのままの状態で良いから楽に生活できたらいい」という人もいます。

それを主張するのもその人の権利であり、他者が否定したり強要することでもありません。

 

目標が決まったからといって焦って通例のリハビリ訓練に入るのではなく、

「なぜその方法でできるようになりたいのか」

まで汲み取っていきたいところです。

 

目標を達成するだけなら、例えばスーパーに行くにしても歩いてではなく車椅子に乗って行けば簡単なのですが、果たしてそれで満足するでしょうか?

満足する人もいるでしょうし、、満足しない人もいます。

人それぞれで何を求めているのかは違ってきます。その違いを聴取するためには、患者さんと療法士との密なコミュニケーションが重要なのだと僕は思います。

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