理学療法士や作業療法士は病院や介護施設、訪問リハビリなどで、患者さんや利用者さんのリハビリに日々携わっている仕事です。
病院も治療・サービスを提供するという意味では商売なわけです。
そうすると、立場的には患者さんはお客さんということになります。(患者さんをお客さんというと語弊はありますが・・・)
一般企業であれば、お客さんのニーズ(必要性)に応えるようにサービスを展開していくのが普通です。
消費者と提供者の需要・供給が一致していれば良いわけですよね。(売り上げの話はともかくとして・・・)
であるなら、患者さんの求めているものを知ることは理学療法士や作業療法士としては非常に大切なことだと思います。
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理学療法士が大切にしているもの
僕が理学療法士として大切にしていることって何だろうと考えてみました。
①方法、②根拠、③結果
この3つかなぁと思います。
これらは学生時代から徹底的に仕込まれてきたもので、僕自身は理学療法士になってからも常に意識していることです。
①方法
いわゆる手段のことを指します。
安定した手技、完璧な触診技術、適切な負荷の運動療法など
②根拠
なぜそうなるのか?
何がどうなっているのか?
つまり、起きた現象に対する理由のことです。
③結果
どのくらい改善したのか?
何かをした後の現象、状況のことを指しています。
患者さんに関わる中で、理学療法士もしくは作業療法士のあなたなら何を大切にしていますか?
患者さんが求めているものって何?
例えば、痛みに悩んでいる患者さんがいたとします。
触診は完璧にできて、完璧に関節を動かせた。
でも痛みは取れなかった。
科学的に効果があると認められている(根拠のある)方法を患者さんに施してみた。
でも痛みは取れなかった。
患者さんは満足しますか?
なんかよくわからないけど(根拠なし)、痛い部分にテキトウに手をかざしてみた。
こんな感じで↓
すると痛みが完全になくなった。しかも傷まで治ってしまう。
これなら患者さんも満足でしょう?
※ドラゴンボールをご存知の方は少しだけお付き合い下さい。
さすがに、クリリンも悟飯も「えっ、なんで?」くらいは思ったでしょう。
しかし、「インチキだ!」とは言わなかったはずです。
だって、治っちゃうんですから。
それに、わざと怪我をして手っ取り早く超回復を図ろうとした輩もいたくらいです。
(それが写真で横たわっている彼ですが・・・)
ドラゴンボールの話はこれくらいにして、患者さんの目的は痛みを改善することですよね。
つまり、患者さんが求めていることは「結果」です。
触り方や理論うんぬんなんか患者さんからしたらどうでもいいんです。
どうでもいいは言い過ぎですが、方法とか根拠は「結果」の次、3の次です。
理学療法士や作業療法士はもっと視野を広げよう
「方法」「根拠」「結果」。
この3つがバッチリ合致したときは、理学療法士として、ものすごく気持ちがいいですよね。スッキリします。
でも、方法は完璧。根拠は明確。でも結果が出ない・・・
理学療法士や作業療法士のあなたならどう考えますか?
「方法が間違っているんじゃないか?」
そう思って徹底的に手技にのめり込みますか?
メカニズムを徹底解明しますか?
人は割に合わないことがあればストレスを感じます。
ですので、無理に理由をつけて納得しようとします。
社会心理学では、このことを「認知的不協和」といいます。
つまり、無理やり理屈をくっつけて根拠を作ろうとします。
ひどい場合なんかは結果が出たかのように誇張したり、誤魔化そうとします。
アメリカの理学療法士は、とにかく「結果」重視です。
何をどのくらいの頻度で実施したら、どのくらい改善したのか。
「結果」を徹底的に求めます。
日本の理学療法の良いところは徹底的に根拠を求めるところだと思います。
日本人は結果よりも過程を気にしたりするところもありますのでね。
そもそも根拠って、結果の蓄積なんですよね。
根拠を現在や未来に当てはめて考える場合、過去にそのような事例があったから高い確率で同じようになりますよ。
というニュアンスで捉えるべきです。
100%同じ結果になりますよ。という意味ではないのです。
何が言いたいかというと、結果を出す前から根拠をあれこれと考えすぎるのは良くないということです。
医療には、西洋医学と東洋医学がありますが、西洋医学のように科学的根拠を元に治療を展開するのは現状限界があるようにも思います。(西洋医学を否定しているわけではないです。)
なので、東洋医学的な視点も含めて理学療法士や作業療法士は視野を広げていくことが大切なのではないかと思います。
何より「結果」を出さないと意味がありませんのでね。
「結果」を出し続けるためには、再現性が必要です。
そのために安定した「方法」となぜ結果が出せたのかといった「根拠」が必要になるのです。
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患者さんが求めているものの真意は?
医療は治すところというイメージがあるかもしれませんが、病気や障害が治らないケースもあります。
例えば、末期癌、脊髄損傷で両足が完全麻痺するなどがそれにあたります。
これらは極端な例ですが、脳卒中で片麻痺を呈し後遺症を余儀なくされた患者さんに対しては、「治る」というのは現象と一致しない表現になります。
そうなると、先ほどから言っている「結果」を出すというのは苦しくなってきますね。
患者さんは、できることなら元通りに戻りたいと思っていますが、このように難しい場合もあるのです。
障害を負った患者さんが、障害受容するまでには以下の経過を辿ります。
ショック期 → 否認期 → 混乱期 → 解決期への努力期 → 受容期 → (適応期)
特に努力期でどれだけ治療をしたか、リハビリを頑張ったかというのがとても大切です。
努力の結果、もし思うところまで回復しなかったとしても、良い意味で諦めがつきます。
逆にもっとできることがあったのではないかと思うと諦めがつきませんよね。
つまり、患者さんが求めている真意とは「納得」できるかどうかなのではないかと思います。
医療・サービスは一般企業でいうところの商品にあたります。
心を込めて作り上げた商品はたとえ出来が良くなかったとしても気に入ってくれることは多いにあります。手作りのプレゼントは出来栄えよりも、その心が気に入るわけですよね。
まとめ
理学療法士や作業療法士が大切にするべきは、まずは「結果」です。
結果を得るためには、もっと広い視野でリハビリを展開していくことが必要なのだと思います。
結果が良いのか悪いのかも大事ですが、いかにして患者さんが「納得」のいく治療やリハビリが受けられるかというのも重要視するべきなのではないでしょうか。