日本は今、超高齢社会に突入していることはこのブログで何度か説明してきました。
高齢になると身体機能の衰えから転倒してしまう割合も増え、高齢者の3人に1人は1年間に転倒を経験していると報告されています。
どうすれば転倒リスクを軽減しつつ、日常生活の目的ややりたいことができるようになるのかを僕なりに考えてみました。
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転倒した高齢者の思い
転倒により骨折してしまえば、大変な手術をした後の痛みやリハビリ、入院生活の様々なストレスなどで辛い思いをした人も多いと思います。
また、家族に迷惑をかけてはいけないなどの思いもあるでしょう。
転倒による死亡事故もあるくらいですから、転倒したことのある高齢者が二度と転倒したくないと思うのはいたって当たり前のことです。
転倒に対する恐怖感、いわゆる「転倒恐怖感」は慎重さの表れでもあります。
ですが、「転倒しないためには動かなければいい!」と度が過ぎた慎重さは、転倒のリスクが増してしまう可能性があります。
転倒→転倒恐怖感→活動性低下→ますます身体機能は低下→余計動かなくなる、動くと転倒しやすくなると悪循環に陥ってしまいます。
転倒恐怖感とは
転倒恐怖感とは、身体機能が保たれているのに、転倒への恐怖から日常的な活動を避けようとすることをいいます。
転倒恐怖感がある人は、自ら転倒する動きを避けてしまいます。
転倒恐怖感から活動性が低下してしまう例
●ベッドで横になっていることが多くなる
●トイレに歩いて行くと転倒するからポータブルトイレで済ます、もしくはオムツで排泄してしまう
●外出を控える
転倒恐怖感から引き起こされる活動性の低下は、更なる身体機能の衰えを招いてしまいます。
また、刺激量も減り認知機能の低下もみられるとますます転倒しやすくなります。
参考記事)
転倒恐怖感から活動性の低下を防ぐ3つの手段
転倒恐怖感は慎重さの表れですので、気持ちを切り替えて大胆に動けばいいと助言しても無理があります。
転倒しない手段を選択し、活動しても転倒することがないことに自信を持つことが大切です。
次は、転倒恐怖感から活動性の低下を防ぐ3つの手段をご紹介します。
身体機能を向上させる
身体機能が衰えているから転倒したり恐怖感でてきます。
活動性が低下すればますます身体機能が衰えてしまうため、この悪循環を断ち切る必要があります。
そのためには、リスク管理を徹底した上で、身体機能を高めていくことが大切です。
おすすめなのがスクワット
両手で机などを支え、10~20回くらい行います。
スクワットは、姿勢保持に必要な体幹背筋群や歩行時に体を支えるために働く大臀筋(お尻の筋肉)や大腿四頭筋(太ももの筋肉)が効果的に鍛えられます。
環境を整える
導線上に手すりを設置
転倒恐怖感を抱えている人は、例えばトイレまで行くのに何も掴まるところがなければとても不安になります。
導線上に手すりを設置したり、テーブルなどを置くことで安全に移動することができます。
今はいろんな福祉用具があり、家のどこでも手すりを設置することができます。
立ち上がり用の手すりを設置
立ち上がる際にふらつくこともあります。
その際には、ベッド横にたちあっぷ(立ち上がり用の手すり)を設置すると良いでしょう。
玄関の上り框に手すり付き玄関台を設置
玄関の上り框で転倒する人も多いです。また玄関の上り框は外出しようとする際、阻害因子になる場合があります。
その場合は、手すり付きの玄関台を設置すると改善されます。
外出時には歩行補助用具を使用
転倒するかもしれないから、外出するのが怖いという人は歩行補助用具を活用すると良いでしょう。
シルバーカーは「見た目が年寄みたい」という人もいますからこの辺は好みになります。
いろんな形のシルバーカーがありますね。
疲れたら椅子替わりにできるものも多いです。
シルバーカーのおすすめの形
シルバーカーのハンドルを持った際に、両手よりも身体がしっかり中に入るこの形(下の写真)がおすすめです。
ハンドルがこのような形のものは、介護保険を使用し所得に応じて1~2割でレンタルまたは購入が可能です。
身体よりも両手が外側に位置するので、身体の横揺れを止めることができます。
また、シルバーカーを使用するとどうしても猫背になってしまいます。
それは、両手で過剰に身体を支えていることが原因で、慢性的な姿勢の崩れにより猫背の姿勢になってしまいます。
身体が両手よりも中に入ることで、きれいな姿勢を保つことができます。
付添い人に依頼する
できることなら一人で何でもできるのが一番いいと思います。
ですので、誰かに付添いを依頼するというのは最後の選択肢になるかとは思います。
外出で転倒恐怖感がある場合は、家族に付き添いを依頼したり、介護保険下でヘルパーを利用するのも良いでしょう。
まとめ
1度転倒してしまった人は、次は転倒しないようにしようという思いが強いと思います。
それはとても良い心がけですが、過度に慎重になりすぎるとかえって活動性が低下してしまい、更なる身体機能の低下を招いてしまいます。
「転倒するかもしれないから動くのを控えよう」ではなく、「どうすれば転倒しないように活動することができるだろう」という考えに切り替えていけば、好循環になっていくと思います。