こちらの小説「人魚の眠る家」は東野圭吾さんの作品です。
僕はよく本屋さんに行くので、元々この本の存在は知っていましたが、入院していた本好きの患者さんが「面白いよ」と言うので、気になり始めてその日の仕事終わりに買っちゃいました。
この小説は「脳死」をテーマにした物語です。
感想としては、すごく面白かったです。
なにより理学療法士として、医療の現場で働いている僕にとって考えさせられることがいくつもありました。
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医療従事者も心身ともに健康であることが大切
新章先生の関わり方はとても勉強になりました。
新章先生が考えていたことは、介護する人自身が滅入ってしまっては、患者さんや介護する人、お互いにとって良くないということでした。
介護する人としては、患者さんに良くなってほしいという思いは当然あると思います。
その思いとは裏腹に、良くならなかったときにすごく悩み落ち込むことがあります。
そのことで介護する人が病んでしまうと、患者さんと関わるのが嫌になってしまうかもしれません。
物語では、実際に病んでしまった介護者も登場していました。
それは患者さんと介護する人お互いにとって良くないことです。
良質な介護をするためにも、介護する人が身体的にも精神的にも健康であることが絶対必要です。
介護する人が、心身ともに健康であるからこそ、患者さんを前向きな目で見ることができるのではないでしょうか。
家族が以前と変わってしまったらあなたはどうする?
病気になった患者さんは「障害受容」といわれる心理的過程を踏むことは知られています。
この過程は当事者だけでなく、その周りの人、つまりこの物語では両親もこの障害受容の過程を踏むことになります。
この物語を通して、脳死を診断された瑞穂の介護を母親である薫子が無我夢中でしている姿が描かれています。
周りからすれば、やりすぎではないかというほど執着した介護ですが、大切な娘の介護となると当然の行いだと思います。
薄々、薫子も気づいてはいるはずです。
以前のように会話したり、笑ったりする娘には戻らないということを。
脳死になった娘の母親が、いかにして障害と向き合うかが描かれた作品です。
まとめ
本好きな僕ですので、たまにこうやってちょくちょく本を紹介するかもしれません。
ご興味のある方は、読んでみてください。