日本は超高齢社会に突入しており、高齢者における転倒・骨折は年々増加傾向にあります。
当ブログのテーマでもある「転倒予防」のために欠かせない知識をご紹介します。
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サルコペニアとは
サルコペニアとは、1989年にRosenbergによって提唱された用語です。
サルコペニアは実は造語であり、ギリシャ語でサルコ(肉・筋肉)、ペニア(減少・消失)の意味があります。
サルコペニアとは、加齢に伴う骨格筋量の減少症とされています。
サルコペニアの有病率は、65歳以上の高齢者で20%であり、当然加齢に伴い有病率はさらに増加することになります。
サルコペニアになると、そうでない人に比べて2~3倍転倒発生率が高まることがわかっています。
サルコペニアはどうやって診断するの?
サルコペニアの診断方法はいくつかあります。
①筋力 ②身体機能 ③筋肉量で判断されます。
ここではアジアで報告されているアルゴリズムをご紹介します。
(Geriatrics & Gerontology International14,Suppl1:1-7,2014より作図)
簡単に説明しますと、まずは①握力、②歩行速度で大まかに判断されます。基準値を上回っていれば、問題ありません。
ちなみに、歩行速度は時速にすると2.8~2.9kmですからかなりゆっくりの速度です。
よく10m歩行というテストをしますが、10mで12.5秒の速度になります。
基準値を下回っていれば、③筋肉量で最終判断がされます。ただし、これは特殊な機械がないと判断することができません。
簡単に筋肉量を判断できる方法をご紹介します。
「指輪っかテスト」といわれるもので、両手の親指を人差し指で輪っかをつくります。その輪っかでふくらはぎを囲んでみたときに、輪のほうがふくらはぎよりも大きいもしくはスカスカと指が動いてしまう場合は、筋肉量の減少が疑われます。
※ただし、このテストは簡易的なものですので、手が大きかったり、筋肉が引き締まっている場合も考えられます。
あくまでも、①筋力(握力)、②身体機能(歩行速度)、③筋肉量の3つから総合的に判断されます。
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サルコペニアの原因と発生メカニズム
筋肉量は40歳頃から徐々に減少していきます。大腿四頭筋の筋肉量は40~44歳から75~79歳までの35年間で、男性では約11%、女性では約6%の減少が認められます。
加齢に伴い内臓脂肪も増加します。40歳~75歳までで、男性は約43%、女性は約65%増加することがわかっています。
この肥大化した内臓脂肪からインターロイキン6(IL-6)などの炎症性サイトカインが分泌されます。
この炎症性サイトカインは、骨格筋の異化(分解)作用をもっています。つまり、筋肉を弱らされる原因になるのです。
サルコペニアの予防とその運動効果は?
サルコペニアの予防と改善に欠かせないのが運動です。
運動の効果
①インスリン様成長因子(IGF-1)による筋萎縮の抑制
②内臓脂肪を減少させ、炎症性サイトカインの生成を抑制する
どんな運動が良いのか
レジスタンストレーニングと呼ばれるものがお勧めです。
レジスタンストレーニングとは、簡単にいいますと全身の筋肉を使ったトレーニングのことをいいます。
つまり、局所の筋トレよりは、全身を使った運動のほうが効果的です。
その中でもお勧めの運動は、スクワットと爪先立ちです。
スクワットは大腿四頭筋(太ももの前面の筋肉)や大殿筋(お尻の筋肉)が鍛えられ、踵上げは下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)が鍛えられます。
③回数は10~20回くらいで大丈夫です。
※注意点としては、膝に痛みがあったり、外反母趾など趾に変形がある人はこの運動は控えてください。
転倒しないためには、少しの運動を心がけることが大切
40~44歳以降の筋量を調べたもので、転倒者と非転倒者を比べると筋量が約5%異なることがわかっています。
つまり、あと5%筋肉量をup、あと少し筋肉量を増やすことができれば、転倒しない人になる可能性が秘められています。
運動以外でサルコペニアを防ぐ方法
日光浴は、筋のエネルギー代謝にも関与しています。
参考記事)
食事も大切です。アミノ酸やビタミンDの摂取は欠かせません。
アミノ酸はタンパク質ですので、肉、魚、卵、牛乳などに多く含まれています。
ビタミンDは、魚介類やキノコ類に多く含まれています。
まとめ
サルコペニアの説明と対策をまとめてご紹介しました。
一般的には40歳頃から身体機能の低下が目立ってくるようです。
それよりも若い人や40歳でも病気のない人は予防的な視点で適度な運動を取り入れましょう。
ご高齢の方は、トレーニング中に転倒してしまうこともあります。物にしっかり掴まる、誰かに付添いを依頼するなど気を付けながら少しずつ続けてください。
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