バリアフリーはご存じの方も多いと思います。
バリアありとは、バリアフリーの反対、障害物がある環境のことをいいます。
バリアアリーで知られていますが、字ズラがややこしいので、ここでは「バリアあり」としておきます。
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バリアフリーとは
転倒予防の視点では、やはり環境の整備も大切な要素です。
バリアフリーとは、障がい者や高齢者など身体が不自由な人を対象に環境が整備されていることをいいます。
バリアフリーは物理的な解決策だけでなく、社会参加が容易になるように促す概念も含まれています。
段差解消や手すりの設置はイメージしやすいですが、円滑なコミュニケーションや交通機関へのアクセス案内なども含まれます。
昔に比べて、最近では社会全体で段差を無くしたり、スロープや手すりを設置したりする場所が多くなっています。
バリアフリーの具体例
バリアフリーは、上でも紹介した概念、生活のしやすさ、社会参加を容易にするという概念も含まれるため、ここですべてを紹介するのは難しいので、よくある具体例だけご紹介します。
・段差解消
日本家屋は段差が多いのが現状です。玄関やトイレ、部屋との間に敷居などがあります。
病気などで将来的に車いす生活となる場合には段差解消は必須です。また、足が引っかかるリスクも軽減でき転倒予防にもなります。
・スロープをつける
段差があり、自力で段差を昇ることができない場合は車いすで段差を昇ることがあります。その場合には、スロープが必要です。
・手すりの設置
よく設置される場所としては、玄関、トイレ、風呂場があります。また、移動用に廊下への設置や階段の設置なども多いです。
・インターホンの設置
トイレの個室にもインターホンが設置されているところが増えています。
確かにトイレ内の転倒は多いので、これは安心ですね。
バリアフリーの目的
バリアフリーにする目的は3つあります。
目的を果たすため
例えば、玄関に20cmの段差があったとします。手すりやスロープが設置されていれば家の中に入ることができるでしょう。
安全のため
玄関の段差を手すりなしで昇れたとしても、かなりの努力を要していては、調子の悪いときはふらついてしまう恐れがあります。そのときに、手すりをしっかり持っていれば、ふらつくことがなくなります。
安楽に過ごすため
社会参加が容易になるという概念を踏まえると、安楽さが求められます。
例えば、毎日の生活で、玄関の昇り降りが大変なら外出をしなくなるかもしれません。
トイレの便座から立ち上がるのにとても努力を要することなら嫌になって、オムツで排泄をしたり、ポータブルトイレで排泄するようになってしまうかもしれません。
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バイアありとは
バリアフリーならぬバリアありとは、あえて障害物を設置する環境のことをいいます。
最近は、「サルコペニア」、「フレイル」、「ロコモティブシンドローム」など高齢者の身体機能の衰えを表した用語が増えています。
医療の業界では、「廃用症候群」が有名です。
廃用症候群とは、安静状態が続くことで起こる心身の機能障害のことをいいます。
つまり、使わない体は衰えるということを意味しています。
高齢になると、バリアフリーの環境に変更することは大事ですが、体が衰える前からバリアフリーにしてしまうのは、段差を昇ったり、床に座り込むなどの機会を奪うことにもなります。
そこで、考えられたのが「バリアあり」です。
バリアフリーとバリアあり。将来的にはどちらが大事なの?
人は、基本的には楽をしたい生き物です。
ですので、障害物ありまくりの環境では、動くことを諦めてしまいます。そうすると寝たきり、引きこもりになり、廃用症候群になってしまいます。
そうなってしまうなら、バリアーフリーにしたほうが、本人の活動意欲や自発性、安心感を与えることができます。
ただし、元気なうちからバリアフリーにしてしまうと、身体機能の衰えを促してしまう恐れがあります。
実際、施設入居者の脚力、歩く速度、またぐ力などが同年代の高齢者と比べて衰えているとの報告もあります。
元気なうちは、バリアありで体を衰えさせないことが大切です。
バリアありは予防のための環境整備ということになります。
バリアフリーでも身体機能を維持する方法
あえてバリアありにしなくても、例えば毎日段差昇降の訓練を取り入れたり、屋外を散歩するなどちょっとした運動を日頃から取り入れることで身体機能の衰えを防ぐことができます。
まとめ
バリアフリーとバリアありについて書きました。
バリアありは、当然転倒など安全面のリスクも伴います。
バリアフリーのほうが、安全面の配慮は成されていますが、身体機能の衰えを誘発するリスクがあります。
バリアフリーは素晴らしい環境整備です。
バリアアフリーは解決策、バリアありは予防のための環境整備です。
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