人間の身体はバランスを崩したとき、転倒しないようにある方略を無意識に行っています。
その方略について今回は解説していこうと思います。
また、若年者と高齢者では身体の使い方が違っています。
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3つの方略
姿勢が崩れた際にとる方略として、立ち直り反応、平衡反応、ステップ反応があります。これらの反応はほぼ無意識の領域で起きています。
立ち直り反応
一側に姿勢を崩した際に、反対側に体幹が傾きバランスをとる反応のことをいいます。
ちょっとわかりにくいので、電車の中を例に挙げます。
電車の座席で居眠りをしている人をよく見かけませんか?
だんだん体が傾いてきて、もうちょっとで隣の人の肩にあたってしまう!ってときにひょいっっと体を元に戻すような動きになっているのを見たことがあると思います。
このときに見られる反応が立ち直り反応です。これは座っているときだけでなく立っているときも同様にみられます。
平衡反応
姿勢が崩れた際に、反対側の腕や脚を広げてバランスをとる反応のことをいいます。
例えば、片脚立ちをイメージするとわかりやすいです。
片脚立ちをしているとき、浮いている脚や両腕を広げたり閉じたりしながらバランスをとっていると思います。これが平衡反応です。
ステップ反応
立ち直り反応や平衡反応は、いずれも重心が支持基底面内に収まっている際にみられる反応です。
※支持基底面とは、身体を支えるために床と接している部分を結んだ範囲のことをいいます。重心はかならず、支持基底面の中に存在します。
ステップ反応は、重心が支持基底面から外れた際に新たな支持基底面をつくるための方略です。
例えば、片脚立ちをしている際に転倒しそうになると、倒れそうな方向に脚が無意識に出ますよね。
逆立ちをしていても同様に転倒しそうになると脚で受け身をとりますよね。
このような反応をステップ反応といいます。
これら3つの方略があるため転倒を回避することができます。
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若年者と高齢者の違い
若年者は足首を主に使ってバランスをとるのに対して、高齢者は主に股関節を使ってバランスをとる傾向にあります。
若年者も強い外乱に対しては、股関節を使ってバランスをとることがあります。
おそらく、高齢者では足底の感覚が低下しやすいため床からの感覚入力が減少して足首の反応がみられにくいことが考えられます。
まとめ
バランスを崩した際にみられる反応として、立ち直り反応、平衡反応、ステップ反応があります。
その時の姿勢の変化に応じて、3つの方略が無意識に使い分けられています。
バランスを崩した際に、若年者では足首、高齢者では股関節を使う傾向にあります。
高齢者のすべてが股関節を中心にバランスをとっているのではなく、足首の反応が鈍くなっているのだと考えられます。
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